イカとすり身の割合は、その日の水揚げ次第。味付けは、おふくろさんたちの勘という=熱海市の網代公民館
熱海市の漁師町・網代に伝わる、おふくろの味「イカメンチ」を観光客に食べてもらおうと、南熱海地区の婦人会、観光業者らが立ち上がった。9月から旅館・ホテルでの共通メニューとして提供し、観光客の掘り起こしにつなげたい考えでいる。
イカメンチは、細かく刻んだイカ、それにアジやサバのすり身、タマネギ、ニンジンなどを混ぜて、つみれにしたものを油で揚げる。
朝、浜にあがった小魚を、ひとつも無駄にしない漁師町ならではの料理。イカの耳と足を入れることで、甘みが出る。網代では80年ほど前から「おふくろの味」として続いているが、いまでは家庭から消えつつある。
この料理に目をつけたのが、キリンビール静岡統括支社。今月下旬からビールに合う郷土料理としてホームページに取り上げることにした。この動きに、地元の観光業者らが呼応した。
旅館・ホテルの観光客は07年、熱海地区で前年比98.5%だったが、網代など南熱海地区は同86%と、落ち込みが大きかった。
旅館経営の富岡篤美さん(52)は「これまでは食の目玉がなかった。イカメンチをメニューにし、南熱海らしさをお客さんに提供していきたい」と話す。
今月上旬には、観光協会、海の家、菓子店など地区住民が集まって、イカメンチを売り出していく発起人会を発足。70代が中心の婦人会幹部は「若いお母さんたちが、最近はイカメンチを作らなくなった。これを機会に、郷土の味がよみがえればうれしい」。市観光経済部の鈴木俊男部長は「イベントだけでなく、地域の食を見つめ直していくことが観光客のリピーターにつながる。市としても応援していきたい」と話す。(白石陽一)
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