府中市晴見町1丁目の商店街に、熊本県宇城(うき)市のアンテナショップが開店した。地方自治体のアンテナショップといえば都心に設けるのが定番だが、より消費者に近い場所で手応えを感じたいと府中市を選んだ。さらに運営も商店街の人材を登用して浸透を図るなど、新しい手法も採り入れている。(石川幸夫)
店名は「どぎゃん」。熊本の言葉で「どう?」という意味があるという。商店街の空き店舗を改装し、7月25日に開店した。
宇城市は人口約6万4千人。熊本県のほぼ中央に位置し、05年1月に三角町と不知火町、松橋町、小川町、豊野町の5町が合併して誕生した。農産物の生産が盛ん。店内には、ミカンジュースやこだわりのトマトジュースなどが並び、南国の香りを漂わせている。
出店に知恵を出したのが、町おこしで実績を上げ、総務省の「地域再生マネージャー」や内閣官房の地域活性化伝道師に選ばれている斉藤俊幸さん(52)。杉並区に自宅があるが、昨年、宇城市から事業への参加を依頼され、現在、同市へ単身赴任中だ。
アンテナショップは都心の一角を選ぶ例が多いが、斉藤さんは「ビジネス街よりも住宅街に設けた方がより消費者の反応が分かる」と提案。宇城市出身者でつくる「東京宇城市会」の会員にアンケートし、府中市を選んだ。さらに、店の運営も、地元の商店街をよく知る人材を登用した。
斉藤さんは「商店街の空き店舗と人材を活用した新しい形の店舗。市町村レベルでアンテナショップを出す例はまだ少ないが、取り組みが成功すればビジネスモデルになる」と語る。
店内で目を引くのが、農園ごとに作られたトマトジュース。宇城市内に新設された工場で加工された、最も力を入れているこだわり品だ。500ミリリットルで1200円と高めだが、都会の消費者がどう受け止めるかを見極めたいという。
店内にはテレビ会議システムもあり、今後、府中と宇城市内に設けた活動拠点を結び、生産者との直接対話や、I、Uターンの相談などにも活用するという。
店の運営を任されている大野経之さん(39)は、商店街で約35年続いた八百屋「大野屋」の長男。この1年間、心臓を患って自宅で療養していたが、新しい取り組みを知り参加した。今では商品の案内も板についた。「遠い宇城市の商品でも、地元の人間が紹介すればそれだけ身近に感じてもらえる」と話している。日曜定休。電話042・369・8776。
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