緑提灯を掲げる「やまと庵」店長の松岡悟士さん=奈良市三条町
飲み屋の店先と言えば赤提灯(ちょうちん)。しかし最近、緑色の提灯を掲げる飲食店が全国的に増えている。国産食材にこだわる店をもり立てようと始まった「緑提灯」運動だ。米国産牛肉や中国製冷凍ギョーザの中毒事件など、食の安全・安心を揺るがす問題が相次ぐなか、食糧自給率の低い県内でもじわじわと広がっている。
発案者は中央農業総合研究センター(茨城県つくば市)所長の丸山清明さん(61)。以前赴任していた札幌市でスーパーや飲食店に道産の食材が少ないことに疑問を持ったのがきっかけだった。
緑提灯は、国産食材をカロリーベースで50%以上使っている飲食店に掲げてもらう。提灯は「緑提灯 地場産品応援の店」と書かれ、国産食材の使用率に応じて「★」印が付く。60%を超えれば二つ、70%超えで三つと増えていき、90%を超えれば星五つとなる。店側を信用したいと、星の数は店の「自主申告」に任せている。
丸山さんが知人らとつくる緑提灯事務局のホームページ(http://midori−chouchin.jp/)から申請すると、パンフレットと手作りの提灯を有料で送ってくれる。
北海道小樽市で05年4月に生まれた第1号店を手始めに全国に広がり、7日現在、1347店が登録。県内にも奈良市や生駒市、田原本町、十津川村、黒滝村に6店ある。
今年4月から緑提灯を掲げる奈良市右京3丁目の「匠良(たから)の家」は星五つ。柳生産の大和肉鶏や長崎五島列島産の魚介類など、食材の約95%が国産という。
店長の戸練大琥(とねりたから)さん(32)は自身や子どもにアレルギーがあるため、食に関して以前から人一倍敏感だった。「緑提灯が広まることでお客さんも産地への意識がより高まる。日本にもおいしい食べ物がたくさんあると知ってほしい」と話す。
「掲げているからにはうそはつけない。自らへのプレッシャーにもなります」というのは、昨年8月に開店した同市三条町の「やまと庵」店長、松岡悟士さん(34)。星三つの提灯を店先に掲げる。
同店は吉野の葛(くず)を使ったそうめん、大和芋など旬の地元食材を使った天ぷらが自慢。「観光客の多い県だからこそ、訪れた人に地元のものを食べてもらいたい」。緑提灯を見て店を訪れる観光客も増えてきたが、「奈良で緑提灯を掲げる店はまだ少ない。もっと増えて、お客さんが一目でわかるくらい浸透してほしい」と期待する。(土肥修一)
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