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【福井】カニ漁解禁 光る熟練の技!

2008年11月7日

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写真甲板へ引き上げたズワイガニを形や大きさで仕分ける漁師たち=若狭湾沖写真初競りにずらりと並んだズワイガニ。棒を持った競り人や仲買人らが値段を叫び合い活気にあふれた=越前町小樟

 日本海側のズワイガニ漁が解禁になり、県の沖合でも越前ガニの漁が始まった。各地の漁港から底引き網漁船計約80隻が出漁。越前漁港の初競りでは、1匹最高2万5千円の値が付いた。県水産課によると、資源量調査では雄、雌ともに前年を下回っているが、過去10年では平均並みという。漁船に乗り、解禁日の漁の様子を見た。

 5日午後10時ごろ、越前町の越前漁港から46隻の漁船が次々に出港した。30年以上漁師をしている倉崎忠広さん(49)の「天龍丸」(15トン)も、豊漁と安全を祈る日本酒を船内にまいて岸壁を離れる。

 ほとんど横並びでゆっくり進んでいた各船は午後10時半、一斉にスピードを上げた。船同士の漁場の取り合いが過熱しすぎないよう、漁協が設けたルールだ。

 天龍丸が狙ったのは漁港西方約30キロの地点。午前0時、操船室のレーダーを見ていた倉崎さんが「よし」と声を発してブザーを鳴らすと、3人の船員が甲板に散った。

 網を入れた場所は水深約250メートル、長年の経験で探り当てた海底のカニの通り道だ。1時間、カニたちがかかるのを待った。解禁日は年に1度の「大一番」。越前ガニの収益が年収の7〜9割を占めるとあって、この日にかける漁師たちの思いは熱い。解禁日はシーズンで最も捕れる日で、今季の魚価を占う特別な1日でもある。

 「さあこれから戦争や」。午前1時。倉崎さんが勢いよく操船室を飛び出した。「網を揚げろ。慎重にな」。左右上下に揺れる船上で船員たちが機械で引っ張り上げられてくる網を両手で引き寄せ、甲板に中身を広げた。

 カレイなどの魚に交じって赤茶色の甲羅が見え隠れ。カニだ。「足が網に引っかかって関節が曲がると値打ちが下がるから、素早く網から外すには熟練の技がいる」と倉崎さん。大きさや性別にそれぞれのケースへ黙々と投げ込む。甲羅の厚さなど売り物にできるかどうかを一瞬で判断する。形の悪いものや足が折れたものは海に返した。

 作業は無言。吐く息も白い寒さのなかで、船員たちの額に浮かぶ汗が緊張感を物語る。越前ガニの足には「天龍丸」の船名が入った黄色いプラスチックのタグをつけた。産地を明確にして「越前ガニ」ブランドを守るため数年前に導入されたという。終わるまで約1時間。一息つく間もなく、再び網を海中に放り込んで、次の漁に備えた。

 一連の作業が夜を徹して、正午までに計6回繰り返された。時間との闘いで、船員たちは漁場から漁場への移動中に少し休むだけだ。

 この日、天龍丸は越前ガニ約200匹、セイコやミズガニなど約5千匹の漁獲。「まずまず、悪くないな」と倉崎さんもホッとした表情だ。

 午後5時から越前漁港であった初競りは、仲買人や料理人ら100人以上で混雑した。競り人の値段を告げる「えー5千円、6千円!」という大声と、仲買人らの「6千円、7千円!」という怒鳴り声が響き合った。平均的な大きさの越前ガニに1万〜2万円、セイコに800円前後の値が付いた。

 倉崎さんの父で元漁師の勲さん(76)が、天龍丸が引き揚げたズワイガニのそばに座って、にこにこしながら息子たちの獲物が高値で取引されるのを見守っていた。

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