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【山梨】国産ワインに活 仕掛け人、醸造家語る

2008年12月3日

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 産地山梨で開かれる「国産ワインコンクール」が今年で6回目を迎えた。この仕掛け人が、元県工業技術センター副所長の小宮山美弘さん(63)。その狙いと、産地の未来について聞いた。

 ――なぜ、国産ワインコンクールを、山梨で開こうと考えたのですか?

 技術屋(醸造家)はワインづくりだけに傾倒している。研究会も技術の話で終わる。消費者を引きつけるためには、競争も必要だ。大変だけど、認知度は上がる。

 ――ゼロから始める際、どうやって関係者に理解を求めたのですか?

 「山梨がリーダーシップを取る」「日本のことを考える」と言って全国を回った。こだわった条件は、「国産ブドウ100%使用」。輸入ワインとブレンドなどをした国産ワインが出回っている中、大手メーカーも、他の産地も最終的には協力してくれた。

 ――ワインは年によって、その消費量が大きく異なります。

 1997〜98年のワインブームの主役は、赤ワインだった。海外の学者が健康にいいという論文を発表して火がついた。その時、県内のワイナリーでも南米から濃縮果汁を買って、それを薄めて発酵させたものを赤ワインとして売っていたところもあった。

 ――それが今は、甲州種の白ワインブームですね。

 私は県がリーダーシップをとって、生食用と区別したワイン用ブドウの農業政策を執るべきだと思う。農家とワイナリーが契約して醸造用ブドウをつくるスタイルだ。それは農家とワイナリーの信頼関係につながる。信頼関係があれば互いにリスクを補うことができる。白ワインの原料の甲州種の栽培は今後、ますます減っていく。ワイナリーは、甲州種を原料に使って頑張っているが、農政が追いついていない。契約栽培や自社農園を支援する政策が必要だ。(岩崎賢一)

■ブドウ農家とワイン醸造家の信頼関係を/シャトー酒折・井島正義製造部長

 甲府市酒折町のブドウ畑を上っていくと、シャトー酒折がある。1993年から、ここでワイン造りに取り組む井島正義製造部長(44)は、「うちのテーマは、普通のブドウから特徴のあるワインを造ること」と話す。いいワインとは、「夕食時に、するすると一本飲めてしまうワイン」と考える。ベースの価格帯は1500円ぐらいだ。

 県産でも(1)国産ブドウだけで造る(2)たるで輸入したワインをブレンドする(3)輸入した濃縮果汁で造る、といった3種類のワインがある。

 ここでも全体の1割強のワインが、豪州産の濃縮果汁を使ったり、チリ産赤ワインをブレンドしたりしている。マスカット・オブ・アレキサンドリアを使ったワインなどだ。「日本は生食用で高価」なため、豪州から調達する。これ以外の8割は、甲州、マスカットベリーA、デラウエアといった県産ブドウ100%だ。消費者に分かるように表示や販売方法で区別する。

 県産ワインの課題は、農家の高齢化、ブドウ畑減少への対応だ。井島さんらは、自社畑や契約農家との取り組みを進めている。「Cuvee Ikegawa」。05年に始めた契約農家の名前を付けたワイン。今年は1500本造った。農家は醸造用ブドウに取り組み、井島さんも畑に行く。農家はその年のブドウでどんなワインを造るか、ワインをいくらで売るかまでかかわる。「山梨のワインの問題は、ブドウを作る人とワインを造る人の信頼関係です」

■甲州種ブドウが足りない/丸藤葡萄酒工業・大村春夫社長

「ルバイヤート」の名で知られる甲州市勝沼町藤井の丸藤葡萄(ぶどう)酒工業。1890年から続く老舗(しにせ)ワイナリーだ。地元勝沼や長野県塩尻市に計2・2ヘクタールの自社畑を持ち、農家とも契約しながら年間約16万本のワインを造る。4代目の大村春夫社長(57)は「日本で取れる生のブドウで、風土を反映したワインを造っていきたい」と語る。

 新しい製法を採り入れながらも、ワインづくりへのこだわりは昔から変わらない。甘口ワインが主流だった時代も、「残り1割のお客さんががっかりするだろう」という思いから、辛口ワインを中心に造り続けてきた。

 そんな大村さんにも、一つだけ苦い思い出がある。赤ワインブームの98年、原料のブドウが国産では足りず、1種類のワインだけ輸入ワインをブレンドした。2年間だけだったというが、「自分たちの存在価値がなくなってしまう。苦しくても我慢するべきだった」と振り返る。

 ここ数年、甲州種で造った白ワインが注目を浴びるようになった。ただ大村さんは今、「国産の甲州種ブドウが足りない。畑を確保しないといけない。勝沼町内では限界がある」という悩みも抱えている。勝沼ではブドウ畑の栽培面積が限界で、収穫量も天候に左右される。

 それでも前向きだ。「ワインは、天候の違いやビンテージがある。だから小さいワイナリーでも生き残れる」と信じている。

■日本食ブームの海外に活路/勝沼醸造・平山繁之専務取締役

 甲州市勝沼町下岩崎の勝沼醸造。8割以上を占める甲州種のワインを中心に、年間約30万本を製造する。専務取締役の平山繁之さん(50)は「これまでの延長線上では未来はない」と話す。

 昔から白ワインは国産の甲州種100%で造っていたが、一部の赤ワインには輸入ワインをブレンドしていた。しかし、04年6月からは全面的に「100%日本のブドウで造ったワイン」に切り替えた。「消費者は国産ブドウで造った国産ワインを求めているから」と話す。

 国産ワインを和食に合う「和の酒」として売り出し、酒販店を通じて、日本食の店などに積極的に置いている。「日本の食材に合うワインとして定着させ、家庭の中にも入り込んでいけばいい」と考えるからだ。

 価格は1500円前後が主流。「日常的に、ワインを飲むというのはまだまだ値段的に難しいかもしれない」と感じている。「国産ブドウにかかるコストから言えば、もっと国産ワインの価格が高くてもおかしくない」ともいう。

 そんな中、一つの活路として考えているのが、海外での日本食ブーム。勝沼醸造では、08年3月からフランスへの輸出を始めた。これまで1500本のワインを送った。今年造ったワインからは、3600本を輸出する予定だ。「甲州ワインは可能性を秘めている。アジア市場など、今後も広げていきたい」と話している。

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