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自治体の「もの忘れ」検診が注目されている。住民対象の集団検診の際に、体だけでなく頭の健康もチェックし、ボケを予防しようというもの。周囲から「おかしい」と指摘されて病院に行くのではなく、その前の軽微な段階で兆候を見つけ、予防策をとることでボケの進行を遅らせることができるという。独自の取り組みをしている群馬県の一部市町村や盛岡市には、全国の自治体などから問い合わせが相次いでいる。
◇痴呆症の早期発見にも効果
群馬県大間々町が毎年春に実施する集団検診に、今年度から「もの忘れ検診」、別名「あたま(脳)の健康度チェック」が加わった。60歳以上の人が対象。痴呆(ちほう)症や、何もしなければ痴呆になる状態を発見して、進行を遅らせるのが目的だ。
検診を受けた69歳の女性は「なかなか自分ではこんなチェックはできない。毎年受けたい」と話した。
痴呆症は、家族が「おじいちゃんがどこか変だ」などと思って精神科に連れて行き、初めて診断されるケースが多い。そうなる前に、「年だから忘れっぽいのも仕方ない」と決めつけず、自分の変化に気付いてもらおうという試みだ。
事前に10項目の質問が書かれた問診票を配布し、記入してもらうのが1次検診。おおむね2つ以上のマルがつくと、2次検診に進む。
2次は個室で、保健師や看護師が1対1で問診。「今日は何月何日か」と尋ねたり、「100から順に7を引いてください」などと問題を出したりする。所定の点数に満たなければ、後日、3次検診を受けてもらう。精神科医が面談し、必要があればCTなどの検査を受けるように勧める。その結果、痴呆と診断されることもあれば、うつ病だと分かることもある。
◇暗算や会話法…自宅で訓練
群馬県内では01年度から5町村で「もの忘れ検診」が開始された。今年度は8市町村が実施する。
検診にかかわる群馬県こころの健康センターの宮永和夫所長は「早期発見、早期予防は一つの目的。それだけではなく、痴呆にならないためにどうすればいいかを自分で意識するきっかけにしてほしい」と話す。
コレステロール値を下げ、食物繊維を多くとることや、適度な運動をすることなど、生活習慣病を避けるための努力は、脳卒中などが原因の脳血管性痴呆の予防にもつながる。
さらに、同県では日常生活でできるトレーニングを提案している。総合的な脳の活性化には、考えをまとめてから話すように心がける。記憶を活性化するには、電話番号を全部覚えてからダイヤルしたり、新しい歌を覚えたりする。計算力の衰えを防ぐには、買い物の際に暗算する、歩数を数えながら歩く、などだ。
厚生労働省の推計によると、何らかの介護、支援が必要な痴呆の高齢者は、05年には全国で169万人で、全高齢者に占める割合は6.7%。35年には376万人で、10.7%になると予測される。今後65歳以上の高齢者が増え、その中でも、より年齢の高い層の割合が多くなるためだ。
盛岡市は02年度から「もの忘れ検診」を始めた。03年度には2236人が検診を受け、6人が脳血管性痴呆、21人がアルツハイマー型痴呆、17人がその前段階の症状、4人がうつ病と診断された。
盛岡市医師会の金子博純地域医療部長は「検診を通じて、痴呆を早期発見するだけでは意味がない」と言う。「痴呆になっても住み慣れた場所で暮らせるよう、地域でどう支えていくのか。受け皿作りこそが、大切なのです」
〈高齢者痴呆介護研究・研修大府センター(愛知県大府市)の柴山漠人(ひろと)センター長の話〉 近い将来、痴呆症を治療するワクチンが実用化されれば、早期発見はさらに大切になる。その時のために、病状が進む前の段階で気づくことの重要性を、検診で多くの人に理解してもらう意味は大きい。
■もの忘れ検診問診票■
(1)最近、家族からもの忘れがあると言われたことがある
(2)物の名前や人の名前が思い出せないことが、よくある
(3)毎日1回以上、しまい忘れがあり、捜すことが多い
(4)今日は何月何日なのか、わからない時がある
(5)朝食の内容を思い出せないことがある
(6)計算の間違いが多い。または勘定を間違える
(7)元気でない、または仕事をやる気がしない
(8)夜眠れないことが多い
(9)野菜の名前を10個以上言えない
(10)現在の総理大臣の名前を知らない
(群馬県もの忘れ検診より)
(2004/05/20)
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