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《見落とされた乳がん》乳腺外科に「検診」急増

 「外来が混乱して迷惑してるんです」。癌(がん)研究会付属病院(東京都豊島区)の霞富士雄・乳腺外科部長から、苦言があった。朝日新聞社が乳がん検診の見落としをとり上げて以来、不安を感じた女性が多く訪れている。乳腺外科を抱える多くの病院がいま、パンク寸前だという。

 癌研病院を訪ねた。午後4時、院内のほかの診療科から人の波が引く中、乳腺外科の待合室だけは中高年の女性40人ほどで埋まっていた。本を読んだり居眠りしたりしながら待っている。ある女性は「午後2時の予約なんですが……」。

 これまで6人の医師で1日約300人の患者を診てきた。最近は、これに加えて連日40〜50人が乳房X線撮影(マンモグラフィー)検査を受診する。ほとんどの人は、しこりもなく、ただ不安だからとやってくる。

 40〜50人といえば、1人の医師が1時間に5人診るとしても8〜10時間かかる計算だ。外来担当でない医師が手伝い、乗り切っている。

 霞部長は「ここはがんの患者が治療する場所。不安という人は、病院ではなく検診機関で検診を受けるべきだ」という。

 本来は検診機関で受診すべき人が、ずさんな検診態勢に疑問を抱き、乳腺外科のある病院や患者会などのホームページで「名医」や専門病院を探しては訪れる。

 乳房X線撮影の写真を分析する能力をもつ読影医を探すため、学会のホームページに殺到する現象も起きている。

 帝京大医学部付属病院(東京都板橋区)の乳腺外来でも、通常午後3時すぎに終わる診察が、6時を回ることが珍しくなくなった。しこりを自分で見つけてやってきて、検査の結果、乳がんとわかったケースもある。

 三井記念病院(東京都千代田区)も新患は普段の5倍の1日25人にふくれあがった。

 「しこりもないのに痛みだけで来る人が増えた」と西常博・乳腺内分泌外科部長。「今の段階では、精度のいいX線装置や技量の高い撮影技師、読影できる医師をそろえているのは大きな病院が多い。結局、自己検診を徹底し、検診機関がレベルアップしないと、混乱は続くでしょう」

(2003/09/28)



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