乳がん検診を取り上げた記事に、医療関係者から40通以上の投書があった。ほとんどが検診制度の見直しを訴える。数人の医師が、現場で行われている乳がん検診のずさんな実態を打ち明けてくれた。
関東地方で集団検診を引き受ける、公的ながん検診センター責任者の乳腺専門医が、匿名を条件に取材に応じた。
検診センターでは、県内の乳房X線撮影(マンモグラフィー)を使った集団検診を続けている。X線撮影の効果は、厚生労働省がまとめた検診の有効性評価の研究で確認されている。一方の視触診のみの検診は、効果がないとされた。
乳腺専門医は「いまだに視触診のみの検診をしているところがある」と言って、パソコンの画面を開いた。県内市町村の半分以上がX線撮影による集団検診を実施している。一方、約4分の1の市町村は独自で視触診のみの検診を続けている。
最近、30代後半の女性が検診センターを訪れた。2年半前にしこりに気づいたが、近所の産婦人科医の視触診でも総合病院の外科でも「異常なし」の診断だった。検診センターで撮ったX線撮影の画像は、はっきりわかる乳がんだった。
今年からX線撮影を導入した地域の検診で乳がんが見つかった人の6〜7割が、その前年に視触診のみの検診を受けていたという。
だが、この乳腺専門医は、視触診のみ実施の自治体に、X線撮影による集団検診を働きかけることには障害がある、という。なぜか。
ある町が検診センターの集団検診を導入しようとした。それを知った地元医師会から町役場に電話があった。「今後、医師会は学校の健康診断を請け負いませんよ」
乳腺専門医は「医師によっては、検診が収入源になっている」と打ち明ける。
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◆医師らのひとこと(検診での乳がん見落としへの反響のお便りから)
がん専門医 乳がんを診たことさえない医師が検診し、かなりの誤診がある
国立大乳腺外科医 医学生でも乳がんの専門が産婦人科だと思っている学生がいる
精神科医 自分で診断できないと感じたら、専門医に回す判断力が必要
臨床検査技師 患者は診断に不安を抱いたら他の病院へ
検診担当保健師 専門でないのに検診させている自治体の保健師は、何しているの!
在ニュージーランド病理医 必要な措置をとれない医師は、この国では激しく糾弾される
乳腺外科専門医 乳がん患者が増えているのに専門医が少ない現状が問題
(2003/09/03)