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どんな病気?

20人に1人は乳がん! 乳がんは「人ごとではない」病気

監修:島田菜穂子先生 (ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長・NPO法人乳房健康研究会副理事長)
情報提供:(株)保健同人社

現在、日本人女性の20人に1人が乳がんにかかっているといわれ、近年は毎年1万人以上が乳がんで亡くなっています。しかし、乳がんは早期に治療すれば、90%以上が治る病気なのです。

乳がんはこんな病気

乳房の中には、乳腺という母乳を作る器官があります。乳がんは、乳腺にできる悪性の腫瘍です。症状は、乳首や脇の下のしこり、痛み、乳頭からの分泌物、皮膚のくぼみ、乳首の陥没などさまざまです。ごく初期に手術でがんを切除すれば完治しますが、放っておくとがん細胞が血管やリンパ管を通って全身に広がり、最悪の場合は死に至ります。

毎年1万人以上が亡くなる乳がん

乳がんの死亡数年次推移

乳がんは、戦後急激に増えた病気です。近年は毎年1万人以上の人が乳がんで亡くなっています。

乳がんが増えた背景には、女性のライフスタイルの変化(一生のうちに産む子どもの数が少ないか、産まない、初産年齢の上昇、非婚化)や、食生活の欧米化などがあります。

乳がんのピークは40〜50代

年齢別がん罹患率

乳がんにかかる人は30代ごろから増え始め、40代後半から50代前半でピークを迎えます。40代で乳がんが見つかる場合、30代ですでにがんが発生している可能性があります。また、20代の発症例もありますから、若い人も「乳がんは中高年女性の病気」と安心はできません。

乳がんはこうやって進む

乳がんが進む段階は、がんの大きさや状態によって、右のような5つのステージに分けられています。

がん細胞が乳腺の中にとどまっている0期からI期までなら手術だけで治りますが、II期以上になると、抗がん剤や放射線などを組み合わせた治療が必要になり、治療にかかる日数や費用、苦痛なども大きくなります。

★非浸潤がんと、浸潤がん
乳腺の中にとどまっているがんを非浸潤がん、基底膜を破って外に出たがんを浸潤がんといいます。浸潤がんは血管やリンパ管を通って全身に流れ出し、血液の多い臓器(肝臓・脳・肺・骨)、脇の下、首などのリンパ節に転移します。非浸潤がんはマンモグラフィや超音波検査で発見できます。

乳がんの進み方

乳がんに早期発見が重要な理由

年齢別がん罹患率

右のグラフは、Tis、0期からIV期までの乳がん患者の10年生存率(治療してから10年間生存していた人の割合)を示したものです。I期までに発見して治療すれば、ほとんどが治りますが、がんが進むと10年生存率が大きく下がります。

増加の背景に、現代女性のライフスタイルの変化がある

一生のうちに何人も子どもを産み、食事は野菜や魚中心で粗食、朝から晩まで体を動かしていた戦前の女性には、乳がんはあまり見られませんでした。しかし、現代女性のライフスタイルには、乳がんを増加させる要因がいっぱいです。特に次のような人は、乳がんにかかりやすいことがわかっています。

●乳がんにかかった家族がいる人
母親、姉妹などに乳がんになった人がいる場合、発症の確率が高くなります。ただ、乳がんになる人の75〜80%は、家族に乳がんの人がまったくいない人です。
●初産が30歳以降だった、子どもを産んでいない、初潮が早かった、閉経が55歳以上だった人
女性ホルモンのエストロゲンは、乳がんを成長させる働きをします。子どもを産む回数が少なかったり、月経がある年数が長かったりすると、月経の回数が多くなり、それだけ体がエストロゲンにさらされることが多くなって、乳がんが進行しやすくなります。
●更年期でホルモン補充療法(HRT)を受けている人や、低用量ピルを飲んでいる人
HRTや低用量ピルなどの女性ホルモンは、場合によっては乳がんの成長を早めることもあります。服用を始めるときは乳がんが発生していないことを検査で確認し、服用中も定期的に検査をしましょう。
●肥満の人、閉経後、太ってきた人
脂肪の多い人は女性ホルモンの分泌も多い傾向があります。特に閉経後、脂肪は男性ホルモンを女性ホルモンに変える働きをしますから、肥満の人は閉経しても女性ホルモンの影響を受けて、乳がんにかかる危険率が高くなる場合があります。
●魚中心の和食よりも、お肉中心の洋食が好きな人
肉類や乳製品などの動物性脂肪は、女性ホルモンの分泌を促す働きがあり、取り過ぎると乳がんの危険を増やします。一方で魚に含まれるDHAなどの脂肪酸は、がんの発生や増殖を抑える働きがあります。ただ、肉類や乳製品には体に必要な栄養素も含まれていますから、適量を取りましょう。
●アルコールが大好きな人
アルコールを大量に飲む人は、乳がんにかかりやすいといわれています。特にうさ晴らしのためのアルコールは度を越してしまいがちです。アルコールは適量を楽しむようにしましょう。

★女性のアルコールの適量……ビール250ml、日本酒90ml、ワイン100ml、ウイスキー30ml、焼酎35mlのどれか1種類

●運動不足の人
週に2〜3時間以上運動する人は、乳がんの発生リスクが少ないという報告があります。運動そのものにがんの発生を抑える効果があるのか、それとも運動によって脂肪が燃やされて肥満が改善されるためなのか、まだはっきりとはわかっていませんが、運動不足ぎみの人は、1〜2日に1度は、30分から1時間くらいの軽い運動を心がけましょう。家事や雑用などでこまめに動く、車やエレベーターなどはできるだけ使わないなどで、運動量を増やすのも効果があります。
ストレスの多い人、不規則な生活をしている人
ホルモンは、日内変動や月内変動を繰り返して周期的なリズムで分泌されます。ストレスが多い生活だったり、睡眠不足だったり、食事時間が不規則だったりすると、ホルモン分泌に影響します。1日3回一定の時間に食事をし、十分に睡眠を取り、上手にストレスを解消しましょう。

★その他、良性の乳腺の腫瘍や、乳がんにかかったことがある人も、乳がんにかかる危険率が高くなる場合があります。

★イソフラボンの大量摂取は乳がんによくない?
大豆や、豆腐、納豆などの大豆製品に多く含まれるイソフラボンは、体の中で女性ホルモンと同じような働きをするため女性に人気があり、イソフラボンを強化した食品やサプリメントなども市販されています。
しかし、乳がんの手術後に薬で女性ホルモンの分泌を抑える治療を行っている場合は、体の女性ホルモンが枯渇していますから、イソフラボンを大量に取ると、イソフラボンが女性ホルモンの働きをするようになり、体に悪影響を及ぼすことになります。 乳がんが発生していない場合や、女性ホルモンの分泌を抑える薬を飲んでいない場合は、ほとんど問題はありません。
イソフラボンは、大豆や大豆製品などの食品から摂取するか、あるいはサプリメントから取ってもよいでしょう。ただし、サプリメントを服用する場合は、用量を守り、適量を取るようにしましょう。
ピンクリボンキャンペーンを応援しています 株式会社保健同人社