高校2年の息子の胸がへこんでいます。中学校で保健師から「漏斗胸(ろうときょう)」と言われました。生活に支障はありませんが、思春期で外見を気にして、筋肉トレーニングをしているほか、早く手術を受けたがっています。どんな手術で、リスクもあるのでしょうか。(兵庫県、K)
■答える人 永竿智久(ながさお・ともひさ)さん 慶応大学病院准教授(形成外科)=東京都新宿区
Q どんな症状ですか。
A 肋骨(ろっこつ)が背中側に落ち込み、胸の真ん中が漏斗のようにへこんで見える先天性の病気です。数百人に1人の割合で、比較的多い病気と言えます。男女比は男性が4対1。女性は胸のふくらみで隠せるため、実際これほど差はないようです。
Q 生活に支障は。
A 心臓や肺が圧迫されて肺活量が減ったり、風邪を引きやすかったりしますが、普段の暮らしに大きな影響はありません。問題は外見ですね。プールに入るようになると悩むお子さんはいます。
Q 筋トレの効果は。
A 大胸筋をつけることで男らしさをカバーすることはできます。ただ、補助的な役割です。骨格のへこみそのものが治ることはありません。
Q 手術はどんな方法がありますか。
A 金属の棒を使って矯正する手法が主流です。弓形の棒をわきから通し、肋骨を持ち上げた状態で体内に埋め込みます。手術は公的医療保険が使え、入院は10日前後です。骨格が固まれば再手術で棒を取り除きます。このための入院は3〜4日ほど。除去までの期間は成長期の子どもで約2年、成人なら約3年が目安です。骨が軟らかい10代までの手術が理想です。
Q リスクはありますか。
A 術後に感染したり、挿入した棒がずれたりすると、再手術が必要になる場合があります。金属の棒が入っている間は空手などのコンタクトスポーツは避けて下さい。手術は形成外科と小児外科でやっていますが、女性は乳房の傷や形を整える場合が多く、そのノウハウは形成外科医の方が持ち合わせていると言えるでしょう。