ランニングブームです。中でも、ひざや腰のけがが減るとして、「裸足ランニング」が注目され始めています。どんな効果があるのか、探ってみました。
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裸足ランニングが注目を浴びるきっかけの一つになった論文がある。ハーバード大の人類学者がケニア人と米国人ランナーの走り方を生体工学の視点から分析。2010年、英科学誌ネイチャーに「日常的に裸足で走っている人は、靴を履いてかかとから着地するよりも、脚にかかる衝撃が少ない」という研究結果を発表した。
衝撃が減る最大の理由は着地の仕方だ。裸足だと足の裏の前方、親指の付け根から小指の付け根までの部分で着地する。本来体に備わっている土踏まずやアキレス腱(けん)の伸び縮みによる衝撃吸収機構がよく働いて、ひざや腰への負担軽減にもつながっていると考えられている。
実際に挑戦してみた。日本ベアフット・ランニング協会の理事長、吉野剛さんが開催する講習会に参加。万博記念公園(大阪府吹田市)にある芝生の広場で約1時間半、裸足になって走り方を教わった。
まずはその場でジャンプ。足の裏の前方で着地していることがわかる。吉野さんは「かかとで着地すると衝撃を吸収できないことが、自然とわかる」と話す。そのまま走ってみると、いつもより軽やかに感じる。
とはいえ、裸足だと足を切ってしまう心配がある。そこで、「裸足感覚」の靴が注目を集めている。5本指が特徴的なビブラムの「ファイブフィンガーズ」やナイキの「フリー」。裸足により近づけるため従来の靴よりも底が薄く、つま先が足首の部分に付くほど深く曲がる。
靴の研究をしている産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センター長の持丸正明さんは「これまでは衝撃を吸収したり、『ギプス』のように足を守る靴が開発されたりしてきたが、我々の身体能力を発揮させる最低限の機能だけを持つ靴へと変化している」と話す。
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独・ケルン体育大学の研究では、裸足感覚のシューズを履いて学生アスリートが6カ月間長距離走の練習をしたところ、親指の付け根の関節の可動域が広がり、指を曲げる足底の筋肉や土踏まずを支える筋肉が太くなっていたという。
一方、注意が必要な人もいる。筑波大学の鍋倉賢治准教授(体力学)は「高齢者や筋力の弱い人、アキレス腱(けん)を痛めたことがある人には負担がかかり過ぎ、あまりおすすめはできない」という。吉野さんも「初心者は、まずは芝生の上で歩くところから」と話す。
講習会の翌日から数日間、ふくらはぎが筋肉痛になった。「道具に頼りすぎて、体が弱くなっていたことに気づくでしょう」と吉野さん。時には靴から足を解放することも、自分の体を見つめ直すいいきっかけになるかもしれない。(月舘彩子)
◆インフォメーション
裸足ランニングが注目されるきっかけの一つになった本「BORN TO RUN」(NHK出版)は、メキシコの峡谷を裸足で走りぬける民族を描く。読書から入るのもいいかもしれない。日本ベアフット・ランニング協会のサイト(http://www.hadashirunning.jp/)は、クラブの活動やイベント情報をチェックできる。
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