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先ごろ、厚生労働省の研究班(主任研究者=切池信夫大阪市立大学教授)によって、摂食障害の診療に携わる専門家向けガイドラインが作成された。一方、別の研究班(主任研究者=石川俊男国立精神・神経センター国府台病院心療内科部長)により、摂食障害の早期発見を目的とした治療ガイドラインの作成準備が進められている。こちらは一般臨床医や養護教諭向けで、患者や家族にもわかりやすい内容を予定している。
ダイエットやストレスなどが引き金となり、食べ物が食べられなくなったり、食べては吐くなどの悪循環をくり返す「神経性食欲不振症(拒食症)」。近年、その増加の著しいことが多数の専門家から指摘されており、昨年実施された全国規模の調査では、その割合が高校3年女子の50人に1人との衝撃的な報告もある。 一方、同じ「摂食障害」でも、驚くほどの量を食べずにはいられなくなるのが「神経性大食症(過食症)」で、こちらは、近年の増加がとくに目立つという。両者は、表面上は正反対の行動でも、過食症の大半は拒食症の反動でおこり、拒食と過食をくり返すケースも少なくない。また、このどちらにもあてはまらないタイプを「特定不能の摂食障害(非定型)」という。 研究班の主任研究者の石川俊男氏は、「疫学調査によって推計される人口10万人あたりの摂食障害の患者数は、1980年には1.5〜1.8人だったのが、1998年には18.5人と、当初のおよそ10倍に増えています。潜在する患者や予備軍といえるような人も含めれば、かなりの数になるはず」と指摘する。 研究班では、全国6か所の医療機関の初診から4〜10年を経過した504人の患者について予後調査を行ったところ、全快47%、部分的に回復10%、摂食障害が持続36%、死亡7%という結果を得た。 摂食障害にはいくつかのタイプがあるが、予後がよくないのは、むちゃ食い/排出型(むちゃ食いしたあと、指をつっ込んで吐いたり下剤を使ってだしてしまうタイプ)だった。 また、研究班のメンバーで京都大学医療技術短期大学部の中井義勝教授の実態調査では、拒食症、過食症、非定型の推定発症率の比率は、1:5:46であったにもかかわらず、実際の外来新患(1995〜1999年)の割合は5:4:1であった。このことから、仮に拒食症の人全員が受診したと仮定しても、過食症は16%、非定型は0.5%しか受診していないことになり、過食症と非定型の受診率がきわめて低いこともわかった。
作成のガイドラインは、「プライマリケア(1次医療)にかかわる一般臨床医や実際に中高生と接する機会の多い養護教諭を対象にしたもので、潜在した患者を見つけたときの対処法を紹介し、できるだけ早く専門的な医療機関につなげることに重点をおいています」と石川氏。 EBM(科学的根拠にもとづく医療)として、国際的に認められている認知行動療法のほかに、わが国で実際に行われ、有効とされる治療法を網羅する予定。また、専門医療機関のリストや自助グループ、地域医療ネットワークなどについてもとり上げ、巻末には患者や家族向けにわかりやすいパンフレットも入れ込むことにしている。 「患者と医師、患者と家族、患者と養護教諭、養護教諭と医師など、それぞれが受けわたしをしながらコミュニケーションのツールとして活用してほしい」と石川氏は語っている。来年中には発行の予定という。 増え続ける摂食障害に対し、多方面からのアプローチが始まっていることに期待したい。
(記事提供:保健同人社)
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