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暮らしと健康コラムwith J-Health 保健同人社

【暮らしと健康特集】アレルギー性鼻炎の対策

重症度や症状のタイプによって治療法を選択する

 アレルギー性鼻炎で受診した場合には、表1のような検査を複合的に行ったうえで診断され、治療に入ります。治療法には、抗原の除去と回避、薬物療法、特異的免疫療法(減感作療法)、手術療法の4つがあります。

【1】抗原の除去と回避
 「抗原が鼻に入る量を減らすことは、患者さん自身にしかできない治療の第一歩」と馬場氏。表2の内容を可能なかぎり実行しましょう。

【2】薬物療法
 アレルギー性鼻炎の治療にもちいられるくすりは、おもに表3のとおりです。これらのくすりは、図3のようにアレルギー性鼻炎のタイプや重症度によって、使い分けられます。

【3】特異的免疫療法(減感作療法)
 アレルギー性鼻炎の原因となっている抗原を少しずつ増やしながら注射していき、抗原に慣らしてしまう方法。唯一、完全に治すことのできる治療法ですが、まれにショックなどの副作用があるため、長期間かけて抗原に対する反応を弱めていきます。

 「最初は週に1〜2回の通院が必要で、その後、月1回程度になり、最終的に2〜3年続けなければならないため、実際に受けるのは患者さんの1割程度です」(馬場氏)

【4】手術療法
 鼻づまりの強い人に対し、腫れてしまった粘膜を切って小さくする治療法。最近では、出血がなく、痛みの少ないレーザー手術により、外来で手術を受ける人が増えています。

 「粘膜の表面を焼くと、過敏性が改善するため、くしゃみや鼻水にも有効ですが、根本的な治療法ではないため、3年程度で再発する人もいます」(馬場氏)

 このほか、鼻水を分泌する鼻腺を刺激する副交感神経の末端を切って、鼻水を止める方法などもあります。

表1 アレルギー性鼻炎の診断方法

問診

 症状の始まった時期、季節、どんな症状か、症状の強さ、ほかのアレルギー疾患はあるか、家族にアレルギー疾患の人がいるかなど、診断の基本となることを確認する。

鼻鏡検査

 鼻の中を診る検査。通年性の場合、鼻の粘膜は白っぽく腫れ上がり、季節性の場合、少し赤っぽく、炎症をおこしたような色になっているのが特徴。副鼻腔炎、鼻ポリープ、鼻中隔湾曲症など、ほかの病気がないかどうかも確認する。

病気がアレルギーによっておこっている証拠をつかむための検査

 鼻水の中に、アレルギーの細胞といわれる好酸球がでているかどうかを確認する。

抗原が何であるかをつき止める検査

皮膚テスト…皮膚の下に抗原を注射して、反応をみる「皮内テスト」、皮膚をついてそこに抗体を落として反応をみる「ブリックテスト」、皮膚を引っ掻いて同じく反応を見る「スクラッチテスト」がある。抗体をもっていれば赤く腫れるが、抗ヒスタミン剤を服用していると、反応がでないため、次の血中特異的IgE検査で調べる。

血中特異的IgE検査…血液検査でアレルギー性鼻炎の原因となっている抗原に対する抗体を見つける。

鼻粘膜誘発テスト…原因となる抗原のエキスを鼻の粘膜につけて、くしゃみ、鼻水などの症状がでるかどうかを調べる。


表2 抗原の除去と回避
●室内のダニの除去
(1) 室内は週に2回以上は、掃除機で掃除する。
(2) 布製のソファー、カーペット、畳はできるだけやめる。
(3) ベッドのマット、ふとん、枕には、ダニをとおさないカバーをかける。
(4) 部屋の湿度を50%、温度を20〜25℃に保つようにする。
●スギ花粉の回避
(1) 花粉情報に注意する。
(2) 飛散の多い日はできるだけ外出を控え、外出の際には、マスク、メガネを着用する。
(3) 飛散の多いときは、窓・戸を閉めておく。
(4) 外出時には、毛織物など花粉のつきやすい素材の衣服はさける。
(5) 外から帰ったら、衣服や髪をよく払い、洗顔、うがいをし、鼻をかむ。
(6) こまめに掃除する。
●ペット(とくにネコ)抗原の減量
(1) できれば飼育をやめる。
(2) 屋外で飼い、寝室には入れない。
(3) ペットとペットの飼育環境を清潔に保つ。
(4) 床のカーペットをやめ、フローリングにする。
(5) 通気をよくし、こまめに掃除する。

図3 くすりを選ぶ目安(通年性アレルギー性鼻炎)
注1:抗ヒスタミン薬は第2世代をもちいることが多いが、第1世代は値段が安い、早く効く、効いている時間が短い、などの特徴をいかして使用する。ただし、眠けが強い、尿のでが悪い、緑内障、喘息のある人には使えないことに注意する。
注2:遊離抑制薬=ケミカルメディエーター遊離抑制薬。
注3:鼻づまりの強い場合、血管収縮薬の点鼻を1週間以内にかぎって使用する。
注4:くすりを1種類にするか複数にするかは症状による。
注5:症状が改善してもすぐにくすりを中止せず、数か月の安定を確かめて徐々に減らしていく。

表3 アレルギー性鼻炎の治療に使われるおもなくすり
【1】
第1世代抗ヒスタミン薬
 ヒスタミンが神経に作用する部分(受容体)をブロックし、くしゃみ、鼻水などに効果がある。市販薬にも含まれており、安全性は高いが、眠け、口が渇くなどの副作用が。また、尿のでにくい人や緑内障の人には使えない。
【2】
第2世代抗ヒスタミン薬
 新しいものほど、眠けなど第1世代の副作用が改善されており、鼻づまりに効くものもある。たくさんの種類があり、作用が少しずつ違う。ほかのくすりとの飲み合わせが悪いものもあるので、ほかに飲んでいるくすりがある場合には、必ず医師に伝える。
【3】
ケミカルメディエーター
遊離抑制薬
 抗原抗体反応がおこっても、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が遊離するのを抑えるくすり。飲みぐすりと鼻に噴霧するくすりがあり、十分な効果がでるまでに2週間かかる。
【4】
抗トロンボキサンA2薬/
抗ロイコトリエン薬
 鼻づまりに有効な新しいくすり。
【5】
ステロイド
(副腎皮質ホルモン)薬
 鼻に噴霧する局所ステロイド薬は、局所にのみ作用し、体内にはほとんど吸収されないため、比較的安心して使えるくすり。くしゃみ・鼻水・鼻づまりのいずれにも高い効果がある。ステロイド薬の副作用はほとんどないものの、決められたとおりに定期的に使用しないと、十分な効果が発揮できない。
 経口ステロイド薬は、重症の人に鼻の粘膜の過敏症を抑える目的などで使用する。ムーンフェイス、月経障害などステロイドの副作用があるため、最長でも2週間を限度に服用する。

ステロイドの筋肉注射はさけて
 ステロイド薬には筋肉注射もありますが、馬場氏らアレルギー鼻炎ガイドライン班による「鼻アレルギー診療ガイドライン」では、好ましくない治療法と明記しています。
 「筋肉注射では、ステロイドが徐々にからだの中に溶けだしていきます。副作用があるにもかかわらず、一度注射をしてしまえば、くすりの作用を止めることはできないため、この治療はさけたほうが無難。注射の場合、注射針を刺した部分の皮膚が萎縮するという副作用も問題になっています」と馬場氏は語っています。

 (記事提供:保健同人社)

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