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暮らしと健康コラム with J-Health 保健同人社

【MEDICALホットニュース】変形性膝関節症の新手術法で軟骨再生

 加齢によって、ひざの軟骨が変性・磨耗し、ひざや腰などに強い痛みを引きおこす変形性膝関節症。わが国における患者数は、60歳以上の40%、1000万人と推計される。この病気によってすり減り、ぼろぼろになったひざの軟骨を再生させる治療法が、横浜市立大学医学部整形外科・名誉教授の腰野富久氏らによって考案された。これまで再生不可能とされてきた中高年の変性軟骨の再生を146膝と多数で確認したのは、世界でも初めてのこと。その研究内容は英国の権威ある医学雑誌『The Knee』に掲載された。

題名 患者数1000万人肥満と加齢、幼児期からのO脚などが原因

 変形性膝関節症の最大の原因は、肥満と加齢による筋力の低下により、膝軟骨に過重負荷がかかること。とくに女性の場合、男性に比べて筋力が弱く、膝関節面も小さいことから、同一面積あたりの膝関節にかかる過重負荷が大きい。そのため、男女比は1対3で女性に多い。

 患者のほとんどは、幼児期からのO脚によって、ひざが外側に曲がっていく内側型の変形(O脚変形)を示している。

 「日本人の場合、大腿骨と脛骨がつくるひざの外側角度は、男性で178度、女性で176度前後が一般的ですが、内側型の変形性膝関節症の患者さんでは180度以上になり、なかには200度を超える人もいます」(腰野氏)

 腰野氏らの治療法では、手術でひざ下の骨(脛骨)の外側を楔形に切り、断面を合わせて固定する高位脛骨骨切り術を行うが、この治療法自体はすでに一般的になっている。従来の方法と違うのは、独自の金属プレートによって、術後の関節を適切な角度に保つことが可能になった点などである。

 「膝軟骨は変性・破壊と修復のせめぎ合いをしています。ひざの変形を治し、金属プレートによって軟骨にかかる負担を適切に保てば、修復の力が有利にはたらき、軟骨が再生されます」と腰野氏。

 骨に装着した金属プレートをとり除く際(術後1〜2年)に、軟骨の状態を確認したところ、146例のうち91%の症例で軟骨の再生がみられ、うち約50例では完全に再生していたという。

 「ぼろぼろの軟骨が新しい軟骨に生まれ変わったわけで、歯でいえば、永久歯が生えてくるのと同じようなもの」と腰野氏。

 金属プレートを外す際に、関節のつっぱりを改善するための処置を行い、ひざの可動域を広げることで、多くの症例で正座が可能にもなっている。

 通常、手術は片足ずつ行われ、術後1週間から10日で松葉杖による歩行を行い、3〜4週間で手術した側の足にも体重をかけて歩行練習を行う。ギプスは、肥満している人や関節の部分の沈み込みが大きい人のみ使用する。骨癒合は術後3か月程度で完成。

 手術で関節がまっすぐになると、脚の長さは2cm程度伸びるため、両足の手術が必要になる。患者の体調にもよるが、通常、片方の足を手術した2か月後にもう片方の手術も行うという。個人差はあるが、片足1か月程度でギプスを巻いて退院も可能。健康保険の適応にもなる。

題名 全身状態がよければ何歳でも手術の適応に

 腰野氏らは、術後15年以上の追跡調査も行っており、患者の満足度も高い。

 「膝軟骨を再生される高位脛骨骨切り術は、自分の組織を再生させる根治的治療法です。人工膝関節置換法などと比べれば、治療期間はかかりますが、適切な治療を受けさえすれば、痛みがとれ、日常生活動作が著しく改善し、しかも、その状態は15年、25年と長期に維持できます」(腰野氏)

 この治療法は、全身状態さえよければいくつになっても受けることができ、術後の経過も良好だという。

■膝軟骨を再生させる高位頸骨骨切り術を受けられる医療機関
●横浜市立大学医学部整形外科 TEL 045-787-2655
●甲賀病院(静岡県焼津市) TEL 054-628-5500
●聖ヨゼフ病院(横須賀市) TEL 0468-22-2134
●国際医療福祉大学附属熱海病院 TEL 0557-81-9171

 (記事提供:保健同人社)


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