【MEDICALホットニュース】胎児性アルコール症候群
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アルコールをはじめ依存性薬物にかかわる問題の予防にとりくんできたNPO法人のASK(アルコール薬物問題全国市民協会)が、2003年11月8日に東京永田町の星陵会館で、胎児性アルコール症候群についての国際シンポジウムを開催した。
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脳の萎縮がまねく行動障害
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胎児性アルコール症候群(Fetal Alcohol Syndrome =FAS)とは、胎児が母体にいるあいだの、母親の飲酒によって引きおこされる中枢神経系の異常をはじめとするさまざまな障害(症候群)のこと。アメリカやカナダなどでは、FASについてはすでに広く知られており、さまざまな対応策がとられている。
近年、わが国では、若い女性の飲酒率が急増し、妊婦の18%が妊娠中に飲酒していたという報告(平成12年実施の乳幼児身体発育調査)もある。しかし、一般の人にはFASについての知識はほとんどなく、予防に対する手だては、ほとんど講じられていない。
シンポジウムは2部構成で、1部ではサンディエゴ大学行動奇形学センター所長のエドワード・ライリー氏が「胎児とアルコール―脳と行動におよぼす影響(アメリカの最新研究から)」について、また、国立FASD専門家向けセンター教育スペシャリストのデブラ・エベンセン氏が「FASD―援助と希望の物語」というテーマで講演した。
両氏によると、FASの子どもには、胎児期や出生後の発育が不全、頭や顎が小さい、眼瞼が短い、上唇がうすい、人中が不明瞭などの顔貌の特徴があり、小脳や前頭葉の萎縮など脳に障害をもっている。そのため、知的障害を生じており、また、ものごとの優先順位を決めて計画的に目的を達成していくことや、集中力や注意力の持続がむずかしいなど、学習・行動上の障害をもつという。さらに、抑制がきかないなど、情動に関する問題も生じており、社会生活を営むうえでさまざまな困難が生じている。
しかしFASは氷山の一角であり、アルコールの障害を受けた子どものなかには、FASの子どものように顔貌の特徴や知的障害もなく、一見ふつうと変わりなく見えるものの、行動面や情緒面に問題を生じ、多くの困難に直面している子どものほうが圧倒的に多い。こうした子どもたちも含めて、妊婦がアルコールを摂取することによって引きおこされた出生障害のことを「胎児性アルコールスペクトラム障害(FASD)」と総称している。
アメリカでは、毎年8800人の子どもがFASを発症しているが、FASDの子どもも含めればその4倍にものぼるとされる。しかも、FASDを発症させるアルコールの量や飲酒頻度については、まだ明らかになっていない。
ライリー氏は「FASDは女性が飲酒をしている国には必ず見られるが、妊娠中の飲酒を完全にやめれば100%予防できる障害である」と指摘し、予防策の必要性を強調した。
また、エベンセン氏は、「FASDの子どもは十分な愛情を受けて育っても、認識や行動の問題は否応なく生じる。早期に発見し、障害をもつ子どもとその親に対し、適切な援助を行って2次障害が予防できれば、障害があっても人生をよりよいものにすることができる」と語った。
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“妊娠の可能性があったら飲まない”の徹底を
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第2部では、精神科医や小児精神科医、産婦人科医や小児科医などFASの関連分野の医師や、ASK代表の今成知美氏らによるパネルディスカッションが開かれた。そのなかで、わが国においては、まだFASについての研究データが少なく、医師のあいだでも認識に大きな差があることが明らかになった。パネリストの医師からは、FASDの存在は認めるものの、注意欠陥多動性障害(ADHD)と行動の特徴が似ているため、慎重な診断が必要である、という意見などがだされた。
全員の意見が一致したのは、妊婦がアルコールを飲むことの害について。会場からの提案で、「妊娠したら(妊娠の可能性のある場合は)、飲むべきではない」ということをシンポジウム参加者の共通認識とし、メッセージとして示していくことが明確にされた。
わが国では、アルコール飲料に「飲みすぎは健康を害する恐れがある」という注意書きさえもない。アルコールの害について、次世代の子どもたちにも影響があることも含めて明確に示し、予防を呼びかけていかなければ、アメリカにおけるFASDの子どもの数は、対岸の火事ではなくなるだろう。また、すでに障害をもって生まれてきた子どもやその親への援助も急がなければならない。
(記事提供:保健同人社)
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