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経口避妊薬(Oral Contraceptive)ピルは、1960年に米国で承認されて以来、世界中の女性に広く使われてきました。初期のピルは、高用量の卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲストーゲン=人工的に合成された黄体ホルモンの総称)の配合剤でしたが、長年の研究によって、徐々にホルモン量を減少させ、現在の低用量ピル(以下OC)が誕生しました。日本では1999年9月に発売されました。 「健康な女性が長期間にわたって服用するものなので、OCほど研究評価の対象となり、多くのデータが集められた薬剤はほかにありません。避妊を維持できる範囲でホルモン用量の低用量化が図られた現在のOCでは、安全性が飛躍的に高くなり、もっとも信頼性の高い避妊法として、世界各国で1億人を超える女性が服用しています」と(社)日本家族計画協会クリニック所長の北村邦夫氏。 とくに先進国での普及率は高く、ドイツでは生殖可能年齢(15〜49歳)にある女性の58.6%、同じくオランダ49.0%、ベルギー46.7%となっています。 「ところが日本での普及率は低く、2002年に厚生労働科学研究班と(社)日本家族計画協会が共同で実施した『男女の生活と意識に関する調査』でも、わずか1.6%にすぎませんでした」(北村氏) しかも、「OCを使いたくない」と答えた女性は71.8%にものぼり、2003年にOC情報センターが行った、すでにOCを服用している女性たちの意識調査でも、服用開始前には60%以上の女性が不安をもっていたことが明らかになっています。しかし、服用後には96%の人が満足し、97%の人が今後も継続して服用すると答えています。また、OCを服用することで図1のような生活の変化がもたらされ、多くの女性が、自分のからだや仕事にポジティブにかかわれるようになったことがわかります。
そもそもOCはどのように作用して、避妊を可能にするのでしょうか。 「前述のように、OCは本来、卵巣から分泌されている卵胞ホルモンと黄体ホルモンを化学的に合成したものです。これを服用すると、脳の視床下部-下垂体は、卵巣から卵胞ホルモンや黄体ホルモンが十分に分泌されているものと勘違いし、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)の分泌を抑え込んでしまいます。その結果、卵胞が成熟せず、排卵はおこりません」(北村氏) また、黄体ホルモンの作用により、子宮頸管粘液の分泌量が抑えられ、その性状が変化し、子宮頸管の入り口は蓋をされたような状態になります。そのため、精子は子宮の中に進入できなくなります。さらに、OC服用で子宮内膜の成熟が抑えられ、たとえ排卵がおこった場合でも、受精卵が着床しにくい状態になり、妊娠を防ぎます。 「このような複合的作用によって、OCを正しく服用すれば、ほぼ100%の避妊効果があります。望まない妊娠を防ぎ、ひいては人工妊娠中絶を減らすうえで、もっとも有効な避妊法であることはいうまでもありません」(北村氏)
(記事提供:保健同人社)
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