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厚生労働省の研究班(主任研究者=中林正雄愛育病院院長)は、妊婦の自己申請によって出産時のリスクを把握し、適切な医療機関が選択できるようにする「妊娠リスクスコア」と、それを一部簡略化し、妊婦が自己評価して自分の妊娠リスクを認識するための「妊娠リスク自己評価表」をまとめた。
「妊娠リスク自己評価表」は、妊娠初期用(妊娠がわかったとき)と後半期用(妊娠8〜9か月)の2種類がある。妊娠初期用では、年齢、身長、体重のほか、喫煙や飲酒、持病の有無、過去の妊娠の状態などの18項目が、また後半期用は、多胎かどうか、赤ちゃんの大きさや位置の異常、妊娠高血圧症候群(旧妊娠中毒症)の有無など11の項目がある(表)。 チェックした点の合計が1点以下は低リスク、2〜3点は中リスク、4点以上は高リスクと評価される。 低リスクの場合は、大きな問題はなく、とくに心配はいらないが、中リスクの場合は、周産期センター(※1、2)と連携している施設での妊婦健診・出産を、また、高リスクの場合は、高度な医療を受けられる周産期センターでの妊婦健診・出産をすすめている。 今回の妊娠リスクスコア作成の目的について、中林氏は「周産期センターに高リスクの人を集め、中・低リスクの人は地域の周産期センターと中規模の病院・診療所が連携して見守るシステムをつくることにあります」と語る。 現状では、リスクにかかわらず妊婦が周産期センターに集中するため、専門的な治療を必要とする人が運び込まれてもベッドの空きがないという深刻な事態も発生しているという。 ※1 周産期とは、妊娠22週から出産後7日未満の期間で、この期間の母体、胎児、新生児を総合的にケアする医療を周産期医療という。 ※2 周産期センターには、高度な医療設備をもち、合併症妊娠、妊娠高血圧症候群(旧重症妊娠中毒症)などリスクの高い妊娠に対する周産期医療を行うことのできる総合周産期母子医療センターと、それに準じた設備をもつ地域周産期母子医療センターの2種類がある。
研究班では、妊娠リスクスコアによる評価の妥当性を確認するために、研究員の所属病院で分娩した2804例について、自己評価表で採点して、周産期予後との関連を調べた。その結果、低リスクは30.5%、中リスクは40.0%、高リスクは29.5%という結果がでた。 「高リスクの人は、妊娠初期の段階では15%でしたが、妊娠後期には30%に増えています」(中林氏) このうち44%が帝王切開を受けており、分娩時大量出血率21.6%、2500g以下の低出生体重児の割合は33%と、いずれも低リスク群の5〜10倍も高かった。また、中リスク群はその中間で、低リスク群の2〜3倍を示した。 「このことから、妊娠リスクスコアは、母子の周産期予後と密接なかかわりがあり、妊娠リスクの判別に有効なことが示されました。自己評価表のほうは、やや簡略化したものの、一般の人には理解がむずかしい項目もあります。不明な点は医師にたずねるなどして、それぞれのリスクに合った適切な病院選びに役立てていただきたいですね」(中林氏) 妊娠リスクスコアは、今後、8か所のモデル病院で調査を続けるとともに、日本産婦人科医会のモニター病院の調査結果と比較するなどして改良を加えるという。 「3年後には、全国で広く使われる評価基準として普及させることをめざしています」と中林氏は語っている。
(記事提供:保健同人社)
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