お使いのブラウザはJavaScriptに対応していないか、または無効になっています。詳しくはサイトポリシーのページをご覧ください。
朝日新聞社から|アスパラクラブ|クラブA&A|携帯サービス|Web朝日新聞|サイトマップ|文字拡大・音声
社会 スポーツ ビジネス 暮らし 政治 国際 文化・芸能 ENGLISH マイタウン
天気|住まい|就職・転職|BOOK|健康|愛車|教育|サイエンス|デジタル|トラベル|囲碁・将棋|社説・コラム|ショッピング|be
JavaScriptを有効されますと広告が御覧いただけます
がん細胞が熱に弱いことはよく知られている事実であり、がん細胞の温度を上げて死滅させようとする「温熱療法」は1980年代から世界的に研究が進められてきた。アメリカなどの治療ががん細胞のみを狙い撃ちにして温度を上げようとする“ピンポイント攻撃”で苦戦していた(現在でも治験段階)のに対し、日本ではがん細胞を中心に周囲の温度も多少上がってよしとするゆるやかな考え方で、京都大学の菅原努教授(現在名誉教授)を中心に学際的な研究が進められ、1990年には日本で開発された電磁波加温装置「サーモトロン」が高度先進医療を経て健康保険の適応になっている。 がん細胞は42度以上になるとほとんど死滅することに着目。がんの病巣をからだの両サイドの表面からプラスとマイナスの電極盤ではさみ(右図1)、そこから高周波を発して生体自身に自己的に発熱させるしくみだ。 「従来、がん治療の第一選択は手術であり、転移などにより進行したがんに対しては、これ以上の治療方法がないとの理由で病院から見放されて行き場をなくして苦しんでいる人があとを絶たない。このような“がん難民”をつくってはいけない」と、菅原氏はいう。 温熱療法は、このような患者にも薬物や放射線治療との併用も含めて治療とQOL(生活の質)を高める統合的医療として、再び注目を浴び始めた。
本来、温熱療法は放射線療法の効果を高める増感作用の役割をはたすものとして開発された。 放射線の照射やある種の制がん剤は、がん細胞のDNAに傷をつけることによってやっつけようとするものである。しかし細胞自身にはこれを修復する作用があるため、いくら照射(投与)してもがん細胞を完全に殺すことはできない。 しかし、そこに熱を与えると細胞の修復作用が低下し細胞が死にやすくなることがわかった。この熱に対して、正常細胞は血流を活発にして平温を保とうとするが、がん細胞は血流が不足しているため熱を排除することができない。そこでますます温度が上がり、縮小や死滅にいたる。「このような温熱療法のがん細胞に対する選択性をいかしながら、放射線や化学療法の効果をより的確に高めることができるのです」と菅原氏。がん細胞への血流を一時的に止めて、その間に少量の抗がん剤投与とハイパーサーミアを行う「温熱化学塞栓療法」などの効果が報告されている(図2)。
もう一つ、温熱の大きな効果が最近になって発見された。血液中には病原体やウイルスを捕獲するはたらきをする「樹状細胞」が存在するが、からだを温めるとこの樹状細胞が増え、生体自身がもつ自然治癒力が高まることが日本の研究者たちによって明らかにされたのだ。 「温熱によって直接がん細胞をやっつけ、一方では免疫力を高めて生体自らの治癒力を応援する。副作用がなく、何度でも行える温熱療法は、頭部以外ならどのような部位にも行え、多発性のがんや進行がんに対しても“打つ手はある”と考えることができる」と菅原氏は話す。
(記事提供:保健同人社)
asahi.comトップ|社会|スポーツ|ビジネス|暮らし|政治|国際|文化・芸能|ENGLISH|マイタウン