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暮らしと健康コラム with J-Health 保健同人社


【暮らしと健康特集】

鼠径ヘルニアの最新治療

もともと弱い鼠径部の筋膜が加齢によってさらに弱くなる

 内臓や組織が本来あるべき場所から外側に飛びだした状態を「ヘルニア」といいます。タイヤがパンクして、中からチューブがでてくるのと同じような状態です。

 腰の椎間板ヘルニアなどが知られていますが、ヘルニアのなかでももっとも多いのが、鼠径部(股のつけ根の前面部分)の筋膜に穴が開いて、内側にある小腸などの一部が腹膜ごと飛びだす「鼠径ヘルニア」です(図1)。腸が脱出することが多いので、俗に「脱腸」とも呼ばれています。

 鼠径ヘルニアは、下腹部にある下腹壁動脈よりも外側から内臓や組織が飛びだす「外鼠径ヘルニア」、内側から内臓や組織が飛びだす「内鼠径ヘルニア」、鼠径靱帯の下から飛びだす「大腿ヘルニア」に分けられます(図2)。

 鼠径ヘルニアの原因について、数多くの鼠径ヘルニアの手術を手がけているNTT東日本関東病院外科医長の伊藤契氏は次のように説明します。

 「鼠径部の筋膜には、もともと構造的に弱い部分があります。男性の場合は、精子を運ぶ精管のとおっている周辺、女性の場合は、子宮を支える靱帯がとおっている部分などですが、このほか、とくに男性の場合は、鼠径部をつくっている腹壁の後ろ側が弱くなりやすいことがわかっています。鼠径ヘルニアは、こうした部分の筋膜が、加齢によってさらに弱くなることで発症します」

 そのため、鼠径ヘルニアを発症するのは、50〜60代がもっとも多く、9割以上を男性が占めます。国内の患者数は年間16万人前後といわれています。

 また、理由はわかっていないものの、腹部の手術、とくに泌尿器の前立腺、膀胱などの手術を受けた人は鼠径ヘルニアになりやすい傾向があるといいます。

 鼠径ヘルニアは子どもにもみられる病気ですが、多くは先天的なもので、大人の場合とは手術の方法も違います(コラム参照)。


図1

図2

Column : 子どもの鼠径ヘルニア
「子どもの鼠径ヘルニアのほとんどは、母親の胎内でからだができる際に、本来は閉じるべきものが閉じずにでっ張りとして残ってしまったものです」と伊藤氏。
 なかには、こうした先天的な要素を大人になるまでもち続けて、20〜30代で発症する人もいるといいます。
「こうした先天的な鼠径ヘルニアの場合には、一般の鼠径ヘルニアの治療法とは違い、ヘルニアを引っ張り上げて、根元の部分を結び、不要な部分を切りとる高位結紮という方法で手術を行います」(伊藤氏)

 (記事提供:保健同人社)

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