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近年、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病は、内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満(腹部肥満)を背景に、互いに重なり合うと心血管疾患を発症しやすくなる症候群(metabolic syndrome,メタボリック・シンドローム)として考えられるようになっている。内臓脂肪型肥満は、カロリーのとりすぎや運動不足などの結果である。 現在、世界では、メタボリック・シンドロームの肥満指標として、BMI(Body Mass Index=体格指数、注1)、ウエスト・ヒップ比、ウエストの測定などがもちいられている。 なかでも、メタボリック・シンドロームの危険度の高い人を、もっとも簡単に見つけられるのがウエストの測定であり、国や地域によって独自の基準が定められている(注2)。日本では日本肥満学会の定めた男性85cm以上、女性90cm以上という診断基準がもちいられている。 しかし、ウエストだけの計測では、ウエストは同じでも身長が低い人と高い人では健康危険度に違いがあり、低い人のほうがリスクの高い可能性がある、日本女性のウエスト90cm以上という基準をもとにするとBMIで肥満とされた割合より肥満検出率が低くなってしまう、などの問題点を指摘する声もある。 こうした点を考慮し、最近注目されているのが、ウエストだけでなく身長も考慮したウエスト・身長比を指標とする考え方(ウエストハイト法)である。 注1 BMI=体重[kg]÷(身長[m]×身長[m]) 肥満は25以上 注2 【ヨーロッパ】男 ≥ 94(cm) 女 ≥ 80【中国】男 ≥ 90 女 ≥ 80 【日本】男 ≥ 85 女 ≥ 90【アメリカ】男 ≥ 102 女 ≥ 88
この指標を提唱している虎の門病院健康管理センター医長の謝勲東氏らは、1993年から3回にわたり、虎の門病院で人間ドックを受診した1万人以上のデータをもとに研究を続けてきた。 その結果、身体計測の指標中、男女ともに、冠動脈疾患危険因子とウエスト・身長比はもっともかかわりが深いことがわかった。さらに、日本肥満学会分類の低体重(BMI:18.5未満)、正常体重(18.5以上25未満)、肥満(25以上)を、各腹部肥満指標で検出できる割合を調べたところ、低体重群からはどの指標でも、腹部肥満の人は検出されなかったが、正常体重群と肥満群では、ウエスト・身長比がもっとも多くを拾い上げることができた(表)。 「とくに、正常体重群の中からもっとも多くの腹部肥満を拾い上げることができました。いわゆる“隠れ肥満”と呼ばれる人たちです」(謝氏) これまでは、正常体重でありながら、糖や脂肪などの代謝異常のリスクの高い人を検出する方法や、これらの人たちに対する健康教育はあまり注目されていなかった。しかし、実際には、正常BMIでも男女ともにウエスト・身長比が0.5以上群の人では、高血糖などの冠動脈疾患危険因子は、0.5未満群の人に比べて明らかに高くなっている。 「人間ドックなどの一般健診者の大多数を占めるのは正常体重の人たちです。生活習慣病の早期予防のために、肥満になってからの指導ではなく、正常体重の人たちに対しての腹部肥満の基準をつくる必要があり、ウエスト・身長比は一つの有効な指標になるものと考えています」(謝氏) 年齢が同じでも身長および体重による個人差が大きい小児の場合、とくにウエスト・身長比の実用性が高い可能性がある。 近年、香港、台湾、バングラデシュなどのアジア諸国でも、ウエスト・身長比が、他の指標に比べて有効であるとする研究結果が報告されている。
(記事提供:保健同人社)