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NPO法人日本臨床腫瘍学会は、わが国初の「がん薬物療法専門医」の認定を行った。昨年11月19、20日に専門医認定試験が行われ、合格者の47名(専門分野:呼吸器26名、消化器12名、血液6名、乳腺2名、外科1名)が、4月1日に専門医として認定された。 がんのおもな治療法には、手術療法、放射線療法、緩和療法などがあるが、そのなかでも薬物療法はすべての療法に関与し、どのような治療を受けることがそれぞれの患者にとってふさわしいのかをリードする。 また、従来の医学は、呼吸器病学、消化器病学、整形外科学、耳鼻科学というように縦割りだったが、臨床腫瘍学は、これらの臓器を横断的に学ぶものであり、その専門医をどのように育成していくかが課題であった(図)。 同学会では、今回新たに誕生したがん薬物療法専門医を、実態は「臨床腫瘍専門医」であり、“がん治療の司令塔”の役目をはたすものと位置づけている。 がん薬物療法専門医を制度として発足させた背景には、(1) がん死亡が全死亡の3分の1を占めるが、臨床腫瘍学が大学教育でまったく行われていない、(2) がん治療には全人的医療・全身管理が必要だが、そのような教育も行われていない、(3) 抗がん剤治療は専門性が高いが、臨床薬理学の知識を欠いた医師による治療が行われ種々の医療事故が発生している、(4) 生物薬剤や抗がん剤などのがん薬物療法の重要性が高まり専門化している、(5) がん薬物療法医の絶対的不足、などがあげられている。
同学会が認定する専門医の資格を取得するためには、(1) 2年以上同学会の会員であること、(2) 医師国家試験合格後2年の初期研修修了後に、5年以上のがん治療の臨床経験があること、(3) 同学会が認定した研修施設で所定の研修カリキュラムにしたがった研修を2年以上受けること、(4) 臨床腫瘍学に関連した論文3編(今後は1編に変更予定)以上および同学会発表1編以上、などの条件があり、さらに受験の際は、過去5年間に行ったがん薬物療法30例の症例実績報告書を提出しなければならない。 今後年1回の専門医試験が実施されるが、同学会では、がん薬物療法専門医に求められる資質として、次のようなものをあげている。 (1) がん薬物療法に関する十分な知識と経験、(2) 臨床薬理学の知識、(3) 標準的治療の実践(副作用の管理、個別化治療)、(4) 全身的管理(臓器横断的診断能力)、(5) 全人医療、(6) 緩和医療の導入(がん性疼痛、精神的ケア)、(7) 臨床試験への参加(臨床試験の計画、実施、解釈)。 今後の展望については、早く1000名に到達することと、4000〜4500人を認定することを目標としている。なお、知識や技能は学会が徹底して教育し、その教育を行うための認定研修施設は約200が適正としている(平成17年度131施設)。 なお、日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会と全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)では、共同コアカリキュラムの作成や教育セミナーの実施、および3学会と全がん協の代表で組織されるがん治療認定医機構による「がん治療認定医」の認定制度の創設を検討中である。より理解しやすい専門医制度が望まれる。
(記事提供:保健同人社)