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【MEDICALホットニュース】 救急蘇生法に新ガイドライン心臓マッサージをし続けることがポイント
目の前に呼吸や心臓が止まって倒れている人がいたら、あなたはどうするだろうか? 「まず119番」 その次は? この質問に答えるのが、今年6月に改訂された『救急蘇生法の指針』だ。心臓マッサージやAED(自動体外式除細動器)使用に関する変更が盛り込まれ、救命率向上にはたす市民の役割が大きくなったことが特徴だ。 手順を簡素化。とりくみやすい内容に新ガイドラインは、2005年11月に発表された国際的な勧告に基づき、日本救急医療財団心肺蘇生法委員会(委員長は帝京大学医学部救命救急センター坂本哲也教授)によって策定されたものだ。わが国には過去にも独自の指針があったが、今回は国際基準に合わせて大幅に改訂された。 特徴は、心肺蘇生法の手順を簡素化して市民がとりくみやすい内容にしたこと、人工呼吸よりも胸骨圧迫(心臓マッサージ)に重点をおき、胸骨圧迫を絶え間なく続けることをすすめていることだ。 従来は、胸骨圧迫と人工呼吸を、成人には15回対2回、小児と乳児には5回対1回の比でくり返すという内容だった。これに対して今回は、成人と小児、乳児の区別なく1セット「30回対2回」に変更された。「回数の違いがあると、緊急の場合に現場で迷う可能性がある」(坂本教授)からだ。 また、胸骨圧迫の回数が15回から30回に変更されたのは、心筋への血流量を増加させるためだ。人工呼吸によって胸骨圧迫が中断されると、その後心拍が再開しても、初めの数回は心筋への血流量が比較的少ない。血流量を増やすには、胸骨圧迫を絶え間なく続ける必要があるというわけだ。 胸骨圧迫重視の内容は、口対口の人工呼吸に抵抗を感じる市民が少なくないことを考慮に入れている。「人工呼吸をしたくないから胸骨圧迫もできない」ということでは、救える命も救えない。そのため、ガイドラインでは、人工呼吸に抵抗がある場合などは、胸骨圧迫だけでもよいとしている。 AEDの使用法変更。電気ショックは1回にAEDについても変更があった。一つは、これまでAEDの使用をすすめていなかった1歳以上8歳未満の小児にも適用を拡大したことだ。AED本体からの電気ショックのエネルギー量を減らす小児用電極パッドの使用がベストだが、それが備わっていない場合は成人用で代用すべきだとしている。ただし、1歳未満の乳児に対しては引き続き使用は認めていない。 また、電気ショックは3回連続ではなく1回ずつにして、すぐに胸骨圧迫を始めるよう改められた。坂本教授によれば、除細動の成功率は1回の電気ショックでも十分に高く、心電図解析や心拍再開確認のために心肺蘇生を中断するよりは、ただちに胸骨圧迫を開始して心拍再開を促すほうが得策だという判断からだという。 ただし、現在普及しているAEDの大半は、従来の指針に沿ってプログラムされている。この場合は、音声メッセージにしたがって従来どおりの使い方で用いる。現場での混乱をさけるには、新ガイドラインの教育普及と同時に、AEDの新しいプログラムへの迅速な移行が大きな課題となる。 総務省消防庁の調査によると、心肺停止の時点で市民が電気ショックを施した場合、使わなかった場合に比べて、生存率が5倍も高かったという。 また、図に示したように、電気的除細動が1分遅れるごとに社会復帰率は7〜10%ずつ低下することがわかっている。 いずれも現場に居合わせた市民による救命処置の重要性を裏づける内容だ。臆せず救命処置を実施できるよう、新ガイドラインによる救急蘇生法の啓発が急がれる。
(記事提供:保健同人社)
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