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暮らしと健康コラム
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【暮らしと健康特集】

新しい繊維のチカラ

【STUDY 1】「いかに天然繊維に近づくか」これが化学繊維の使命だった?

 私たちの生活に欠かせない繊維には、いろいろな種類があります。絹、綿、麻、羊毛など、天然のままで産出されるものを天然繊維、人工的に作り出した繊維を総称して化学繊維と呼んでいます。これはまあ、常識ですね。では化学繊維はいつごろから作られるようになったのでしょう?

 「化学繊維の歴史は、いかに天然繊維の機能に近づくかという歴史だったんです」開口一番そう話されたのは、日本化学繊維協会の大松沢明宏さん。天然繊維が何千年もの昔から衣料に利用されてきたのに対し、化学繊維は誕生からまだ百数十年しかたっていないといいます(表1)。

 「絹を産出しなかったヨーロッパ人にとって、人工的に絹を作ることは長年の夢だったんですね。多くの学者がこの研究に取り組みました。これが化学繊維の始まりです」

 天然繊維は、栽培する土地の確保が大変だったり、天候に産出量が左右されたりと、一定量の供給を安定して続けることが難しい場合があります。それを補うものとして、化学繊維は作られてきたというのです。

 「ところが今では、化学繊維でなければできないことがたくさん出てきました。例えば強さが要求されるもの、耐久性が要求されるものなどは、化学繊維が非常に優れています。また、世界で必要とされる繊維量の不足を補って、生活を支えるためにも、化学繊維は重要な働きをしています」

 化学繊維の技術は、衣料品や毛布、カーペットなどの生活用品にとどまらず、医療や情報産業などあらゆる分野で利用されています。昔は「天然素材が一番。化繊は安物……」などと思われがちだった化学繊維。どうやらそのイメージは、ずいぶんと変わってきているようです。


表1 主要化学繊維の年表
事項
1884 シャルドンネ伯、硝化法レーヨンの製造に成功
1890 ディスペイシス、銅アンモニア法人造繊維(キュプラ)を発明
1892 クロス、ビバン、ビードルの3人、ビスコース法レーヨンを発明
1919 セラニーズ社、アセテートの製造開始
1931 ポリ塩化ビニルの製造成功
1935 デュポン社カロザース、ナイロン66を発明
1939 京都大学矢沢将栄、桜田一郎、ビニロンを発明
1940 ポリウレタンを発明
1941 アクリルを発明・ポリエステルの製造成功
1942 アクリルの試験生産開始
1953 ポリエステルの生産開始
「化学せんい」(日本化学繊維協会刊)より
「暮しと健康」2007年9月号より

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