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スギ花粉症の患者が早くも医療機関を受診している。例年なら春先から目立つが、今年は記録的な空梅雨と猛暑でスギの花芽が大量につき、一部が季節外れに花粉を振りまいたためだ。来年の飛散量は過去最大級になる可能性が指摘される。厚生労働省はインターネットで情報を提供するとともに、「民間療法の多くは十分な根拠がなく、選択には注意が必要」との呼びかけも始めた。
東京都足立区の「こやま耳鼻咽喉(いんこう)科・アレルギー科クリニック」には、11月中旬ごろから花粉症の症状を訴える患者が訪れるようになった。小山悟院長は「去年の同時期と比べ3倍は来ている。今後、ますます増えるだろう」と話す。
日に5〜6人が訪れる日本医大の大久保公裕助教授も「この時期に患者が来ることはまずなかった」という。
大手ドラッグチェーン「コクミン・アゼリア店」(川崎市)ではここ1週間、鼻炎用の点鼻薬や飲み薬、マスクなどを買い求める人が100人近く訪れた。在庫が足りなくなり、急きょ仕入れを増やした。1月からは風邪薬コーナーを縮小し、花粉症コーナーを拡大する予定だ。
異例の状況に、厚生労働省も17日から同省のウェブサイトに掲載したリウマチ・アレルギー情報で、花粉症を特集した。花粉の飛散予想や学会が認定する専門医などの情報提供のほか、民間療法への注意を促している。
民間療法には主に、漢方薬や健康食品、鼻スチーム療法などがある。多くが科学的評価を受けておらず、効果が証明されていない。薬草療法で広く使われている「エフェドラ」には重い心血管障害や神経障害を引き起こす恐れが、漢方薬には重金属や毒性物質の汚染の恐れがあるが、患者には十分知らされていない。
調査した岡本美孝・千葉大教授(耳鼻咽喉科)は「飛散量の少なかった今春に効くと感じた療法でも頼り切らないでほしい。毎年重い症状が出る人は早めに医師に相談してほしい」という。
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「ものすごい着花量」「スギ花粉が連続的に観測された」
医師や花粉専門家らによる全国各地の花粉症研究グループと連携しているNPO花粉情報協会には、福岡、山口、兵庫、栃木、山形などから報告が相次いでいる。東京・品川など都市部でも、まだ量は多くないものの花粉飛来が確認された。
協会理事で気象業務支援センター専任主任技師の村山貢司さんは「来春は全国的に多く、平年の2〜2・5倍。少なかった今年の10〜30倍で、観測史上最大だった95年を上回る可能性もある」と予測する。
スギは前年夏が空梅雨で猛暑だと花芽がよく育ち、花粉飛散量が多くなる。特に7月〜8月初めの日照時間が影響する。気象庁によると、今年7月の日照時間はほぼ全国的に平年を上回り、特に太平洋側は北海道から九州まで平年の1・4倍以上のところが多かった。
さらに前年に少ないと2年分が一度に開花する形で、翌年は多くなりやすい。史上最高だった95年もそうだった。「03年の冷夏で、04年春は近年になく飛散量が少なかった。来春は多くなる条件がそろっている」と村山さんは警告する。
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スギ花粉症の発見者として知られる神尾記念病院(東京都千代田区)の斎藤洋三顧問(耳鼻咽喉科)によると、最近は症状や持病、生活様式に合わせて抗ヒスタミン剤やステロイド剤など薬を選択できるようになってきた。「来春は花粉が多いので、薬を併用して効果を上げたい。シーズン前から服用し、症状が弱くなっても続けることが重要」という。
今春に間に合うかは微妙だが、鼻の粘膜表面をレーザーや薬品で焼く治療法や、極微量の花粉抽出液の注射を繰り返し症状を和らげる減感作療法もある。
外出時にマスクやゴーグルを着用したり、帰宅時にうがいや目の洗浄をしたりする予防策も効果的だ。
衣服に付いた花粉の屋内持ち込みも要注意だ。ライオン(本社・東京都墨田区)の調査では、花粉症の人の96%が屋内でも花粉に悩んでいた。花粉が非常に多い日に1時間外出すると、セーターに付着する花粉は約10万個に上った。飛散時期は空気が乾燥して静電気が発生しやすく、はたいてもなかなか落ちにくい。
同社は「晴れて風が強いなど花粉が特に多くなる日は、表面が滑らかで花粉の付きにくい服を着たり、静電気防止スプレーを使ったりすることで持ち込みを減らせる」としている。
〈花粉症〉 鼻やのどから花粉が入ると、体の免疫機構が働き、鼻の粘膜にある肥満細胞が防御態勢を整える。そこへさらに花粉が入ると、体外に追い出そうと肥満細胞が炎症を起こすヒスタミンなどを分泌、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状を招く。発症するかどうかは体質や健康状態による。風邪と違い、のどの痛みや発熱はあまり見られない。
原因植物はスギ、ヒノキのほか、秋の花粉症で知られるブタクサ、ヨモギなど60種以上あり、患者は国内に約2千万人いるとされる。
(2004/12/25)
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