|
35歳のいま、大学までラグビーで鍛えた体は見る影もありません。脇腹の脂肪は厚く、前年のズボンがはけません。時間がなくても、通勤や仕事をしながらの「ながら運動」があります。試してみました。
まず、大阪府立健康科学センター(大阪市東成区)で健康チェックを受けた。
身長160センチ、体重61.9キロ。標準体重より6キロ重い。ウエストは86.1センチ。動脈硬化の要因になるLDLコレステロール値は150ミリグラムと高め。手先の血液の巡りがかなり悪いと指摘された。
朝食は食べない、夜遅くまで勤務し、自宅に帰ってから夕食と、不健康な食生活のつけが回ってきたようだ。
同センター健康開発部の大平哲也医長からは「無理に運動時間を作ろうとすると続かない。最寄り駅から一つ手前で降りて歩くだけでも運動量は増えます」と諭された。
◇
相談の結果、(1)歩く時間を通勤の行き帰りで各10分(各約1000歩)増やし1日8000歩にする(2)エスカレーターやエレベーターは使わない――を通勤しながらの目標にした。
記録のため、1週間分のデータをまとめてパソコンに取り込める歩数計(8800円)を購入した。「ちょっと遠回りして夜桜を楽しむなど、お気に入りのコースを見つけるといい」と大平医長。
おなかを引き締め、筋肉も鍛えたい。そこで、「日常ながら運動推進協会」(東京都渋谷区)の長野茂代表に、ながら運動を教えてもらった。
まず、いすに座ってできるもの。そろえた両ひざを押し合う=太ももの内側を引き締める▽両ひじを曲げ背もたれを強く押す=背中の筋肉を刺激▽足の甲を別の足のアキレス腱(けん)に当て両足を押し合う=太ももの強化。「思いたった時にするのが長続きのコツ。ちょこまかと体を動かしましょう」と長野さん。
◇
効果はいかほどか。埼玉県が、ながら運動を4カ月間続けた43人を調べたら、最も多い人で平均運動量は116キロカロリーから250キロカロリーへと2倍以上に増加。平均でも10%増えていた。
大阪大学健康体育部の大平充宣教授によると、ながら運動のような「ややきついより少し弱い程度」の運動は体内の脂肪を消費し、コレステロール値を下げ、肥満を防ぐ効果が期待できるという。
電車の中で立つのも運動になる。大平教授は十数人を対象に、ふくらはぎのヒラメ筋の活動量を筋電図で比べた。立っている時は座った時の約5倍だった。「毎日の積み重ねで大きな差になる。習慣にすれば、筋力が衰えるのを遅くできる」と大平教授。
私は、効果をみるために食生活はあえて変えず、ながら運動を2週間続けてみた。
1日の平均歩数は目標を上回る1万1000歩を歩いた。電車や信号を待つ間は、かかとの上げ下げ運動や、かかとがお尻につくようひざを後ろに折る運動。電車内では座りながらできる運動を一通り。駅に着くたびに運動を替えて、飽きないよう工夫した。図の運動も毎日、全部。その場もも上げは、上体をねじる動きを加えて脇腹を刺激した。
◇
再び同センターで健康チェックを受けて驚いた。ウエストは3センチも細くなっていた。コンピューター断層撮影で内臓脂肪の面積は15%減。LDLコレステロール値は119ミリグラムに減っていた。手先の血流は大幅に改善。体重は700グラム減止まりだった。
大平医長は「体重が減らなくても、運動には糖尿病や高血圧、心臓病の予防効果があります。この調子で続けて下さい」。ほめられて、やる気が増した。
◇
〈詳しく知るには〉
埼玉県の(http://www.pref.saitama.jp/A04/BT00/kprogram.htm)に、県民健康福祉村がまとめた「ときめき ながら運動」が紹介されている。長野茂さんの「50歳からの『ながら運動』健康法」(PHP研究所、本体1300円)も詳しい。
〈健康チェックコース〉
大阪府立健康科学センター(http://www.kenkoukagaku.jp)には、スリムで健康コースなど10コース(予約制・有料)。私が受けた冷え・冷房病予防コースは約1万2000円。別料金で骨密度と内臓脂肪測定を追加した。あいち健康プラザ(http://www.ahv.pref.aichi.jp)でも実施。各ホームページのリンク集に他の施設が紹介されている。
(2004/03/16)
|