現在位置:asahi.com>健康>メディカル朝日コラム> 記事 接遇訓練!2007年04月09日 接遇合宿参加の成果を皆に還元すべく、K先生による接遇教育が始まった。病院機能評価合格のために職員の接遇マナー向上を目指す。
まず、本日18時から職員食堂で行われる「第1回接遇セミナー実技講座」。掲示板にはK先生お手製のポスターが貼られている。「まずは、感じの良い(素敵に見える)立居振る舞いから、だって。だらだらした立居振る舞いは患者に良い印象を与えません、って書いてあるよ。H先生、猫背だもんねぇ。直してもらわなくっちゃ」。私は一緒にポスターをのぞいているH先生にしゃべりかけた。 「真田先生だってスリ足で歩くくせに。そんな歩き方してるから、よくものにつまずいてころぶんだよ」「K先生の立ち方や歩き方は合宿にいらっしゃる前からきびきびしてましたものね。そういうのも踏まえて、合宿の成果の伝授ってわけですね。私参加しよっと。H先生も一緒に出ましょうよ。接遇が悪くて評価落ちるのいやでしょ?」 私とH先生、ほか数十人の医師と看護師などが職員食堂に集まった。まずは机を隅に移動させる。広いスペースができたところへ、竹刀を持ったK先生登場。 「まずは立ち方からだ! 腹の下に力を入れてぇ、顎を引いて、行き先を見据える。胸を張って、骨盤を立てて、両肩を下げる!」。横一列に並んだ我々は、K先生の注意のたびに、くねくねと体を動かして、言われた通りにしようと格闘している(しているつもりだけで、端から見ると違っているので、K先生から注意を受ける羽目になる)。 「あご引け! あごぉ! 胸張って!」。K先生の怒号が走る。「H先生、腹出すんじゃな〜い!!」。バシ〜ン!! 手にした竹刀が床にたたき付けられる。 「真田先生はいつもバッグを左肩に掛けているだろう? しかもかなりの重さと見た」「だって本やら書類やら入った鞄を肩に掛けて持っているんで。いつも左肩に掛けます。なんで分かるんですか」「こうやってまっすぐ立っているつもりでも左肩がすでに上がっているからだぁ!」。パンパン。K先生の竹刀が軽く私の肩をたたく。「いいかぁ! 歪んだ日常生活が姿勢まで歪ませるんだ。バランスよく、常に一定になるように注意しなくてはいか〜ん!!」。パンパン! 竹刀が床を突く。歪んだ日常生活って……。鞄に書類をたくさん入れて仕事してるってことじゃん。なんだかやたら厳しい接遇教育に皆へとへとだ。 「次は、横1列になって歩行の練習!後ろ足のけり出しを強く、膝を曲げず踵から着地」。やってみると結構大変。1人ずつ皆の前で歩くのだが、膝を出してぴょこぴょこ歩く人、ガニ股でどかどか歩く人、スリ足、猫背と、お世辞にも奇麗な歩き方をしている人はいなかった。それに比べてK先生のきびきびした歩き。すばらしい。これも合宿の成果か? 竹刀の先で、膝を打ったり、腰を押したりと皆をスパルタ教育。 「でもさぁ、これ、なんか軍事教練っぽくないかぁ? とてもスッチー教育受けてきたように思えないよ」。H先生が小声で私に話しかけてきた。「そこぉ! 私語しなぁい!!」 ばし〜んと竹刀が打ち付けられる。H先生と私はびくっと直立不動になった。なんなのだ、この軍事教練ばりの接遇教育は? それに妙に慣れている。 「防衛医大だ!」。私とH先生は同時に叫んで顔を見合わせた。そう。K先生は防衛医科大学卒。学部時代に一通り自衛隊訓練を受けているのだ。K先生は学生時代、現役自衛隊員と互角に訓練科目をこなし、あまりの成績の良さに教官から「医官にするのはもったいないからこっちへ来い」とお誘いを受けたという伝説の元防衛医大生。「これ、接遇教育じゃなくて接遇訓練だよ」H先生はため息をついた。「スッチーに会えなかったうさをここで晴らしてるんだな……」 後日、これに参加した病院職員はきびきびと動くようになり、お辞儀の角度は測ったように45度になった。H先生の猫背も心なしか直っているようだ。接遇教育、もとい訓練は今月も開催予定。 筆者プロフィール
|