脳卒中の治療を受けて退院した患者が、地域のかかりつけ医に通いながらリハビリ病院や救急医療機関で専門医らのチェックを受けられる地域連携の仕組みを、来年度から、厚生労働省研究班(主任研究者、峰松一夫・国立循環器病センター部長)がモデル事業として大阪府内で始める。これまで各医療機関がバラバラに持っていた患者の情報を統一し、患者ごとに「脳卒中ノート」をつくる。かかりつけ医の診断が「適切かどうか不安」との声も多く、こうした実態の改善を目指す。
大阪府の豊中市、吹田市などでつくる「豊能二次医療圏」の25病院がつくる「回復期リハビリテーション病院連絡会」が実施する。この医療圏は国立循環器病センターや大阪大学付属病院など、脳卒中患者を多く診る救急医療機関を抱える。
脳の血管が血の塊で詰まる脳梗塞(こうそく)や脳出血などの脳卒中を発症した患者は、まず救急医療機関で専門的な治療を受ける。さらに、手足などにマヒが残れば回復期のリハビリ病院に転院し、退院後は自宅から内科医などのかかりつけ医に通うケースが多い。症状の悪化などがなければ、救急医療機関に定期的に通いにくいのが実情だ。
今回の事業では、まず救急医療機関の主治医が「地域連携クリティカルパス」という共通の用紙に、患者の合併症や既往歴、リハビリの内容などを記載し、転院先に渡す。同時に、患者にも「脳卒中ノート」を渡す。
脳卒中ノートには、かかりつけ医などが診察のたびに治療の経過を記入していくほか、患者自身も日常生活の様子などを記入する。患者はこのノートを持ち歩き、定期的に救急医療機関で再発の兆候がないか検査を受けたり、リハビリ病院で、マヒの程度が強まっていないかどうかを確認したりする。
同連絡会が昨年、自宅に戻った患者68人を訪問調査したところ、7割が「身の回りの動作を自分でできる」程度に回復していた。一方で、8割近くが「生活の質はよくない」と回答しており、専門医によるケアが受けにくいことへの不安を訴えていた。
国は昨年末の医療制度改革で、脳卒中などの地域医療連携体制の整備をうたっており、今回の取り組みは、専門医とかかりつけ医との情報共有を目指している。
この事業を進める国立循環器病センターの長束一行医師は「地域の病院が連携して患者を診る態勢を整えれば、患者も安心できる」と話している。