東京大学医学部付属病院は20日、入院中の10代男性の重症心臓疾患の患者がベッドから転落し、補助人工心臓に血液を送る管が抜け、翌日の再植え込み手術後にも人工呼吸器の作動が遅れる二重の医療事故があったと発表した。患者は意識不明の重体。同病院では、家族に謝罪するとともに、調査委員会を設置し、原因究明と再発防止策の検討を始めた。
同病院によると、この患者は1月に重症心臓疾患で集中治療室に入院。今月1日、ベッドから転落する10分前から鎮静のための点滴を始め、5分後に看護師が様子を見て問いかけた時は落ち着いていたという。その5分後に隣のブースで別の患者を処置していた看護師がドスンという音を聞いて駆けつけたところ、患者は床に落ち、植え込み手術を受けていた補助人工心臓の管が抜け、3リットル以上出血したという。
発見後、当直医師が気管挿管や心臓マッサージなどの救命措置をするとともに、補助人工心臓の管挿入部での止血などを行った。
患者は、転落で管が抜けたことで一時、瞳孔が広がり、対光反射が消えた。脳に障害を受けたが、治療で改善傾向にあるという。
ベッドには床ずれ防止のためにエアマットを敷いていたため、ふとんの高さが手すりとほぼ同じ位置まで上がり、転落防止の役割をなさなかった。同病院は「我々の予想を超えて患者が動いた」と説明する。
さらに、この事故で翌日に補助人工心臓の再植え込み手術をした後、集中治療室で人工呼吸器を接続し、電源を入れて呼吸数などの設定をしたものの、待機モードのまま作動させず、3〜4分の間、低酸素状態になったという。
同病院は「管理ミスだった。患者と家族におわび申し上げる。今後このようなことのないよう再発防止に努める」としている。