往診した医師の診察を受ける白内障患者の女性=3月、ベトナム・ビントゥアン省の村、和田写す
途上国で深刻な白内障による失明の予防をめざし、順天堂大医学部(東京都文京区)の眼科学教室がベトナムで協力事業を始める。今夏からベトナム政府が地方勤務の眼科医を対象に研修事業を始めるのに合わせ、カリキュラムや教科書づくり、講師陣育成を支援する。
順大眼科学教室は1980年に世界保健機関(WHO)から西太平洋地区失明予防協力センターに指定され、アジア各国の失明対策事業を支援してきた。今回の事業は、米国に本部があるNGO「ヘレン・ケラー・インターナショナル」の仲介で実現。平塚義宗准教授が3月中旬、ハノイを訪れ、研修期間や参加者数などを協議した。
人口8400万人のベトナムには日本の5倍にあたる52万人の失明者がいる。7割が手術で視力を取り戻せる白内障が原因だ。適切な治療を受けられず、毎年新たに10万人以上が白内障で失明寸前になっている。
80年代後半からWHOなどの援助で、医師らが医療機器を持って地方に出かける「出張手術」が普及したものの、患者増加に追いつかず、4割が手術を受けられないなど、特に医療事情が悪いことから支援することになった。
研修は日本財団(東京都港区)が3年間、資金援助する。地方の診療所などで働く眼科医を対象に、最新知識だけでなく公衆衛生の基礎知識も教育する。住民の経済状態や地理的な条件など地域ごとに異なる課題を解決する力をつけてもらう狙いだ。平塚さんは「地方の医師の技術を高められれば、かなりの失明を減らすことができるのではないか」という。
順大は6月までにカリキュラムと教科書の原案を作る。その後、平塚さんらがハノイを再訪し、研修の講師役を務めるベトナム人眼科医に研修手順や教材の活用法などを教える予定だ。(和田公一)