区役所に設けられた「長寿医療」の窓口には、朝から問い合わせのために訪れる人たちが続いた=15日午前、東京都文京区、鬼室黎撮影
75歳以上を対象とした「後期高齢者医療制度」(通称・長寿医療制度)で15日、年金からの保険料の天引きが始まった。新制度をめぐっては、保険料の計算ミスや保険証が届かないなど、各地で混乱が起きている。市区町村の窓口には、この日もお年寄りからの問い合わせが相次いだ。
この制度は、75歳以上が加入する独立した医療保険制度。これまで、国民健康保険やサラリーマンとして健康保険組合などに自ら入っていた人や、加入者に扶養されていた人たち計約1300万人が加入する。今まで被扶養者として保険料を払っていなかった人たちも、原則として自ら保険料を負担することになる。保険料の全国平均は、年額約7万2千円。
制度自体は4月1日から始まっており、年金からの保険料天引きが、15日に支給される年金から始まった。天引きされるのは、年間の年金受取額が18万円以上で、介護保険と、この医療制度の保険料をあわせた額が、年金額の2分の1以下の場合で、対象者は約1千万人。4月の天引き対象は共済年金受給者含めて832万人。被扶養者などだった人は10月の年金から天引きが始まる。
しかし、この天引きにからんで地方自治体によるミスが続出。仙台市では、被扶養者だった人ら今月は対象外の人など111人から誤って計約85万円を天引きする手続きをしてしまい、対象者を戸別訪問して現金を返還中。
保険証を郵送するなどしたのに本人に届かず返送されてしまうケースも相次いだ。厚生労働省によると、9日時点で全国約6万3千人に上るなど、新しい制度は出だしからつまずいた格好だ。
舛添厚労相は15日の閣議後の記者会見で、「国民の皆様にご迷惑をかけて申し訳ない。一日も早く混乱が落ち着くようにしたい」と改めて謝罪した。「宙に浮いた」年金問題が解決しないうちに保険料天引きを始めたことに批判が相次いでいることに対して、「天引きでなくても保険料は払わないといけない。年金記録問題は一生懸命やっており、ふたつの問題を情緒的に結びつけるのはいかがかと思う」と反論した。