患者一人ひとりの遺伝子レベルの体質に応じて治療するオーダーメード医療の研究を、日米の研究機関が共同で始める。15日、理化学研究所(埼玉県和光市)ゲノム医科学研究センターと、米国立保健研究所(NIH)傘下の研究機関などが合意書に署名した。まず、乳がんの治療や脳梗塞(こうそく)の予防など5件の研究にとりかかる。
日米でトップの研究機関が、こうした共同研究を行うのは初めて。互いの能力や資源を効率的に利用した方が研究に無駄がなく、治療の標準化も図れると判断した。NIHの研究機関は、国立がん研究所など3機関で、これらが関与する薬理遺伝学研究ネットワークも参加する。
ゲノム医科学研究センターとともに国際薬理遺伝学研究連合を創設し、薬の効果や副作用にかかわる体質の研究を急ぎ、臨床への応用を早める。
5件の研究は第1弾。乳がんでは、標準的に使われながら心臓に毒性のある抗がん剤や、近年日本でも普及してきたホルモン療法の研究をする。脳梗塞では、研究組織が持つ5千人の患者データをもとに、脳梗塞や血管が詰まる病気の予防薬の効率的な使い方を探る。
米国は、オーダーメード医療に積極的で、一部の薬については米食品医薬品局が使用前の遺伝子検査を推奨している。研究には米国の有力大学や有名病院も加わる。
ゲノム医科学研究センターは、バイオバンクの30万症例のデータをもとに遺伝子レベルで体質を解析。病気を発症しやすい特徴も研究する。血液から45分で遺伝子のタイプを見分ける装置も企業と共同で開発している。
中村祐輔センター長(東大医科学研究所教授と併任)は「効果的な医療を米国のトップ研究機関と共同で実現させ、日本の患者さんに還元したい」と話す。