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高齢者保険料、免除と知らずに? 山形の無理心中

2008年04月24日

 山形市岩波で20日、無職長橋安男さん(58)が母キミ子さん(87)と無理心中を図ったとされる事件で、安男さんは近所の人に「後期高齢者医療制度で保険料が天引きされ、生活が大変」と話していたが、実際は今年9月まで保険料は免除の対象で、天引きは始まっていなかったことが24日、わかった。制度の説明が十分に伝わっていなかった可能性が高いとみられる。

 保険料を徴収する山形市によると、キミ子さんは制度導入の際に用意された激変緩和措置の対象だったという。キミ子さんは安男さんの被扶養者になっていたため、4〜9月は保険料が免除、10月〜来年3月は9割軽減で、負担額は1800円だった。その後も1年間は軽減措置の対象になる予定だった。市は制度の仕組みなどを広報などで説明、保険料の天引き対象者には徴収の通知を届けていたが、免除対象者には個別にその旨を知らせるなどの対応は取っていなかったという。

 安男さんは心中を図った20日早朝、キミ子さんの健康状態などについて地区の民生委員に相談。腰痛で入院していた病院から5日ほど前に退院したキミ子さんに認知症の症状が現れ始めたと伝え、「(新制度で)保険料が上がったし、再入院するには医療費も上がり、大変だ」と話したという。

 近所の人にも、介護のために仕事を辞めた後はキミ子さんの年金を生活費にあてていて、保険料の天引きで生活が苦しいと漏らしていた。21日には民生委員と、新しい医療制度で入院費がどうなるか、山形市内の病院に話を聞きに行く約束をしていたという。

 24日には、山形市内で長橋さん親子の葬儀がしめやかに営まれた。親類の男性(61)は、「どうして心中まで追いつめられたのか。相談してくれてもよかったのに」とやりきれない様子だった。参列した近所の男性(60)は「安男さんとは地域の行事でよく顔を合わせた。何でもまじめに取り組む熱心な人だった」と言葉を詰まらせた。

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