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腎移植に拒絶反応抑える新手法 女子医大と順大、実施へ

2008年6月30日

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 移植された臓器への拒絶反応を抑える新手法での腎移植手術を、東京女子医科大と順天堂大のグループが近く始める。免疫をつかさどるリンパ球の一種の「T細胞」に、特殊な処理を加えることで可能にした。患者は手術直後以外は免疫抑制剤を飲まずにすみ、副作用を避けられる。長期的な成功率も高まると期待される。

 計画しているのは、東京女子医科大の寺岡慧教授(腎臓外科)、順天堂大の奥村康教授(免疫学)ら。手術する女子医大の倫理委員会の承認を今春得た。親族から腎臓提供を受けて手術する患者のうち希望者に行う。当面3〜5組に絞り、慎重を期す。

 T細胞は、ウイルスや細菌など異物を認識して攻撃する免疫機能をつかさどる。移植臓器も「異物」と認識し攻撃するのが拒絶反応で、ひどいと臓器が全く機能しなくなる。奥村教授らは、T細胞に働きかけ、移植臓器を自己のものと勘違いさせる特殊な抗体を特定。サルの実験で5年以上、拒絶反応を抑えられることを確認した。

 新手法では、移植手術の前日に患者と提供者の血液からT細胞を採取。両者を混ぜ、特殊な抗体とともに2週間培養して患者の体内に戻す。このT細胞が調節役として働き、ほかのT細胞にも影響を与えて「勘違い」を連鎖させる。一方、ウイルスや細菌などへの攻撃は衰えない。

 通常の移植では、患者は免疫抑制剤を生涯飲む必要がある。だが、新手法では、手術直後に限られる。体内でこのT細胞が働き始めたのを確認しながら次第に量を減らし、手術から約1カ月〜1カ月半後に中止できる。

 その後は免疫抑制剤を飲まずにすむため、腎障害など副作用の恐れがなくなる。数カ月から数年で起きる可能性がある動脈硬化など慢性拒絶反応も避けることができる。このため、手術から10年後も腎臓が機能する割合は、今より2割ほど高い9割程度にまで上がると期待される。生体腎移植は年939件(06年)行われており、新手法が成功すれば影響は大きい。

 新手法は、心臓、肝臓移植などにも応用が可能。特に、慢性拒絶反応に苦しむ心移植が多い米国で注目されており、世界の移植医療を変える可能性がある。(編集委員・浅井文和、野瀬輝彦)

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