日本経済の構造転換の方向性を示す「21世紀版前川リポート」が明らかになった。高度成長期のシステムから脱却し、経済の「若返り」が必要だと指摘。少子高齢化の中で成長を続けるため、子育て支援策の充実などで10年後に合計特殊出生率を1.8程度まで回復させることを目標に掲げた。
政府の経済財政諮問会議の専門調査会(会長・植田和男東大院教授)が福田首相の意向を受けてまとめた。正式名称は「グローバル経済に生きる」。86年に作成された「前川リポート」の21世紀版。
リポートは、日本がバブル崩壊後の「失われた10年」を経て、世界経済に占める比重や産業の競争力が低下したことを指摘。今後も10年間で人口が400万人減り、新興国台頭で地位低下は続くとした。エネルギーや穀物の需要がなお増えるため、価格上昇の圧力も加わり続ける、と成長維持への課題を列挙した。
そのうえでリポートは、日本が「世界とともに成長する枠組みを作ることが必要だ」と主張。成長の源泉となる人材や資金、情報が海外から集まる「開放的なプラットホーム(活動拠点)」になることが不可欠だとした。
10年後に目指す社会として、(1)長期勤続に有利な退職金税制や、正規・非正規雇用の間の格差などを是正し「人材がヨコに動く」際の壁をなくす(2)世界中から先端企業が集まるよう企業合併・買収(M&A)を活性化(3)社会保障制度を改革し、出生率を1.8程度まで回復(4)地域自立のため10年以内に道州制を実現(5)地球環境保護と両立する経済成長を達成――などの姿を示した。(庄司将晃)