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食料マスク備蓄、外出控えて 新型インフル家庭の対策は

2008年10月15日

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写真新型インフル対策として、コメや切りもち、缶詰などの備蓄を国は勧める図

 間もなくインフルエンザシーズン。だがこの季節性インフルより格段に大きな被害を生む新型インフルエンザの大流行(パンデミック)が心配されています。感染拡大を防ぐには、自宅にこもって外出を控えるのが最善として、政府は家庭向けガイドラインを出し、食料やマスクの備蓄を勧めています。(武田耕太、立松真文、服部尚)

 ○不織布製を20〜25枚

 「ひょっとしたら今年来るんじゃないかと考えてしまう。子どもに感染したらと思うと怖い」と福島市内の主婦(40)は新型インフルの発生を心配する。

 感染症の恐怖を初めて感じたのは、重症急性呼吸器症候群(SARS)が中国で猛威をふるった03年だ。会社員の夫が中国に単身赴任中。同僚の家族らが一斉に帰国してきた。夫ら社員は現地に残ったが、幸い感染はなかった。

 新型インフルが話題になってから医療職の知人に聞いたり、ネットで調べたりしている。だが結局何をどう準備すればいいのか、疑問は募るばかりだ。

 厚生労働省の専門家会議は9月下旬、家庭で備蓄しておくべき食料やマスクの考え方について、ガイドラインで示した。

 マスクは、繊維や糸を熱などで接着させた「不織布製マスク」を1人あたり20〜25枚を目安に備蓄するよう勧める。薬局などで市販され、市販マスクの9割以上がこのタイプ。発生時には原則外出を控えるが、やむを得ず週2回外出するほか、自らが発症した時に使用する分も入れて2カ月分の計算だ。

 ガイドラインでは、密着性の高い防護マスク「N95」や、綿織物を重ねた「ガーゼマスク」についても検討した。その結果、N95は、長い時間着用すると息苦しくなるため日常生活に適さない、と推奨しない。ガーゼマスクは、せきやくしゃみを遮断する効果が低い、という。

 備蓄は今からしておこう。不織布マスクの多くは海外で生産されており、発生時に慌てて買おうと思っても売り切れる恐れがある。

 ただ不織布製マスクも十分でない。マスクと肌のすき間からウイルスが侵入する恐れはある。「マスクは、咳(せき)をしている人が他の人にうつさない効果を期待するもの。うつされない、と考えるのは過信です」と元小樽市保健所長で新型インフルエンザコンサルタントの外岡立人さんはくぎを刺す。

 「それでも、着けないよりは着けたほうがいい」と国立感染症研究所(東京都)の岡部信彦・感染症情報センター長。そのうえで新型インフルに限らず、季節性インフルエンザでも「咳エチケット」を心がけるよう推奨する。

 咳やくしゃみをする時は、人から顔を背けて1〜2メートル以上離れる▽鼻汁や痰(たん)の付いたティッシュ、マスクは外したらすぐ袋やふた付きごみ箱に捨てる――などだ。

 感染を疑ったときにどの時点で受診するのかも難しい。むやみに医療機関に駆け込めば、うつしたり、うつされたりすることになりかねない。「どこで診察が可能かなどを確認し、電話相談したうえで指示を仰ぐ、といった冷静な行動も必要」と感染研の岡部さん。

 和田耕治・北里大助教(公衆衛生学)は「これまでは薬やワクチン備蓄を主に対策が進められてきたが、今後は、備蓄や発生時の行動などについて国民意識をどう高めるかが課題だ」と話す。

 ○「多め早め」心がけを

 政府は、新型インフルがいったん大流行すると、1回2カ月程度の流行期が、波のように複数回起こると想定。流行期には、なるべく外出しない方がよい、と呼びかける。このため、長期保存できるマスクは2カ月分、食料は2週間ほどの備蓄を推奨。事前にワクチン接種などで備えたライフライン関係者らは仕事に就き、水道や電気、ガスは通じている前提だ。

 「自然災害では炊き出しなどがあるが、パンデミックは地震のように局所ではなく、全地域が機能しなくなるので食料支援はまず期待できない。外出できないまま、飢えに襲われるだろう」と、甲南女子大の奥田和子名誉教授は危機感を募らせる。

 兵庫県の自宅でも食料備蓄を始めた。気になるのは保存期間。食品科学などを専門にする奥田さんは、料理教室に通う男性10人と共同で、精白米の保存について調べた。

 2カ月室温保存した精白米を、うまみや香りなどで評価した結果、備蓄に耐えられると判断。奥田さんは自宅で、常に2カ月分のコメを備蓄して、新しく購入した後は古いコメから食べるようにしている。副食は魚や肉、野菜の缶詰など。レトルト食品も交え、2週間分を段ボール箱に詰めている。

 「気持ちに潤いがもてるようフルーツ缶やようかん、アメなどの嗜好(しこう)品も入れています。栄養補助食品やスポーツドリンクも便利ですよ」。水道は確保される前提だが、万一止まれば死活問題。災害対策も兼ね、少なくとも3日分(1人当たり9リットル)を目安に備蓄を勧める。

 国もガイドラインで、家庭で備蓄しておくべきリストを出した。リストのうち食料を、男性記者2人が東京都内の量販店で購入してみた。コメやもち、缶詰など。2人家庭で約2週間分と見込んで買ったのは1万2千円余、ポリ袋5袋分。発生時に慌てて買いに走るのでなく、普段から「多め早めの買い置き」を心がけたほうが良さそうだ。

■家庭で備蓄しておくものは(厚労省資料から)

【食料】(約2週間分)

コメ、乾めん、切りもち、シリアル類、乾パン、各種調味料、レトルト・フリーズドライ食品、冷凍食品、インスタントラーメン、缶詰、菓子類、ミネラルウオーター、ペットボトルや缶飲料

【日用品・医薬品】(マスクは2カ月分、他は適宜)

普段飲む薬、ばんそうこう、ガーゼ・コットン、解熱鎮痛剤

マスク、ゴム手袋、水枕・氷枕、漂白剤、消毒用アルコール

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