前小樽市保健所長の外岡立人さんは、新型インフルエンザの知恵袋として引っ張りだこだ=小樽市内
宇都宮市の主婦(33)は毎朝、元小樽市保健所長の外岡立人さんのホームページ(http://www.superinflu.com)をチェックする。「新型インフルエンザ」に変異すると言われる「鳥インフルエンザ」の世界の最新情報が日々更新されているからだ。
関心を持ったきっかけは人から人へ、くしゃみなどで爆発的に感染が広がる事態を描いたテレビ番組だった。「その夜は一睡もできなかった。自分に確実に降りかかる問題として初めて真剣に考えた」
翌日、ネット情報を調べるうち、議論が白熱すると「小樽の先生のところを見よう」と繰り返し言及される外岡さんのホームページを知った。
今は会社員の夫(36)と小1、小2の娘が1カ月、外出しなくてすむだけの食料と装備を家に整えている。「国や自治体の情報では具体策が見えない。自分と家族を守るには、今から情報を集め、備えておかなくてはならないと思ったのです」
一方の外岡さんは、北海道大とドイツで公衆衛生学と小児科学を学んだ医師だ。市立小樽病院を経て、8月まで小樽市保健所長を務めた。所長時代は国より早く「一般市民のための新型インフルエンザ対策ガイドライン」をまとめて、無料で配った。
海外情報の発信は05年1月から。「日本は海外の正確な情報があまりに乏しい」と感じたからだった。毎朝3時すぎから海外の報道や科学論文、研究者の発言などをネットで調べる。翻訳して、原文とともに掲載している。
各国の家禽(かきん)や野鳥、そして人の感染状況。ワクチンの開発や接種に関する情報も豊富で、日本の体制がいかに遅れているかが浮かび上がる。
「大切なのは、鳥インフルエンザの段階でウイルスを封じ込めるという危機管理の発想だが、日本は青森県で死んだ白鳥から最も危険なH5N1ウイルスが検出された情報を1カ月後に発表するなどあまりにずさん。危機管理の基本は情報の早期の公開とそれに基づく冷静な議論なのに、その基本が欠けている」
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死者7100万人との推計もある新型インフル。「感染爆発直前」と言われる中、何にどう備えるべきかを6回連載で考える。(斎藤智子)