「一体、誰に人気があるのだろうか?」──。いわゆる生命保険の「比較サイト」の人気ランキングを見ながら、いつも思うことです。
確かに「人気ランキング」は便利かもしれません。私も家電の量販店に行ったら、「人気第1位」などと書かれた商品から目が行きます。保険の場合、商品は見えないわけですから、よりランキングへの依存度は高まる気がします。やはり参考にしたくなるに違いないと感じるのです。
しかし、実際にランキングに入っている商品をチェックすると、冒頭に書いた言葉がすぐに浮かんできます。「プロに人気がある保険」ランキングを作ったら、「選外」となりそうな商品が散見されるからです。
たとえば、「女性保険」部門では、「ボーナスつきの医療保険」がベスト5以内に入っています。私が知る限り、低金利が続く90年代後半以来、保険のプロで「ボーナス」や「お祝い金」と呼ばれる「生存給付金」が付いた保険に加入したがる人はいません。「3年後に10万円かそこら『自分が払ったお金』が戻ってくる仕組みのどこが有難いのだ?」「だいたい、お客様から預ったお金を、保険会社が返金する際に『ボーナス』と呼んでいいのか?」などと考えているのが実情です。
他にも、この連載でも「そもそも生命保険でも医療保険でもない」と書いた「長期傷害保険」、「保険金が自己負担になる、保険になっていない保険」と指摘した「保険料が全額戻る(?)保険」も堂々のランクインを果たしています。いずれも、プロに投票させたら「ワースト部門」の有力候補だと思われる保険です。
保険比較サイトのランキングは基本的に、そのサイトを経由した「資料請求数」でランク付けしています。サイトの目立つ場所に広告を掲載すると、必然的に資料請求数は増えます。そういう意味では、操作が可能なランキングとも言えます。広告にインパクトがある商品、テレビCMでおなじみの商品も有利でしょう。つまり、「いい保険」ではなく、「宣伝をたくさんしている保険」が選ばれるということです。
いずれにしても、あまり有意義なものとは思えません。むしろ、「いろんな保険があってよくわからないから、『皆が選んでいる保険』に入っておこうか」といった間違った選択をするお客様が増えてしまいそうです。
本当に役に立つランキングがあるとしたら、「プロが、自分と家族のために選んでいる保険」でしょう。私の経験では、保険会社に勤務しているプロが加入する保険のランキングをつくると、「生命保険」(死亡保険)部門の上位には、「勤務先の団体定期保険」(グループ保険)が必ず入るはずです。「医療保険」部門でも「団体保険」が人気を集めるでしょう。ただし「『医療保険』に、どうしても入らなければならないとしたら・・」という一言が加わる可能性もあります。「シニア保険」部門では「入らない」という回答が大半を占め、「人気ランキング」が成立しないかも知れません。
「資料請求数」で決まる結果とはずいぶん違うものです。私なら、「プロが選ぶランキング」以外は参考にならないと思います。

後田亨(うしろだ・とおる)
1959年、長崎県生まれ。長崎大学経済学部卒業後、アパレル・メーカー勤務を経て、日本生命に転職。 10年間、歩合制の営業職員として働く。2005年に独立し、(株)メディカル保険サービス取締役に。 07年に刊行した「生命保険の『罠』」(講談社+α新書)で、業界を知る立場から生命保険業界が 抱える問題点をあげて、評判に。近著は「“おすすめ”生命保険には入るな!」(ダイヤモンド社)。