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2人に1人が「がん」になる…のは何歳から?

2009年4月1日

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 「今や2人に1人が『がん』になる時代。だから…」と言われると、「やっぱり『がん保険』に入っておこうか…」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。私もある保険会社のパンフレットを見て、心が動いた1人です。

ところが、冒頭のキャッチフレーズの根拠となっているデータを当たってみて、私の気持ちは変わりました。「物は言いよう?」という感想を持ったのです。

 そのパンフレットで「2人に1人がガンになる」事実を示しているのは、財団法人がん研究振興財団が発行している「がんの統計07」の中にある「年齢階級別罹患(りかん)リスク」という表でした。ガンの部位に対して罹患率が性別年齢別に表示されています。

 この表を見ると、確かに男性ではおおよそ2人に1人、女性では3人に1人がガンにかかることがわかります。また、ガンによる死亡は男性で4人に1人、女性で6人に1人ですから、やはり国民的な大病と思えます。

 ただし、問題はそこからです。「いつごろからがんにかかる人が増えるのだろう」と、年齢別の数字を追っていくと、意外な事実(?)が見えてきます。まず50歳を前にがんにかかるのは、男性で2.2%、女性で4.4%です。「95%から98%の人が無縁」ということになります。

 以降、男女別に数字を拾うと、男性で10人に1人以上がガンにかかるのは、64歳まで対象を広げた場合です。それでも11.4%ですから、「ほぼ9割の人がガンになっていない」とも言えます。その後、69歳までに罹患率は約18%に達し、74歳までに4人に1人、79歳で3人に1人、84歳までに5人に2人と増え、85歳以降ガンにかかる人を加えると2人に1人に届きます。

 一方、女性は、59歳以下では9割以上が罹患しません。64歳までに10人に1人を超えますが、5人に1人になるのは75歳を超えてからです。その後、80代前半までに4人に1人を上回りますが、3人に1人になるのは、85歳を超えた人も対象にしてからのことです。

 こうしてデータを確認すると、がん以外も含めた何かしら大きな病気をしそうな年齢になってからの発病が多いと感じます。「70歳未満の男性、75歳未満の女性は80%超がガンにはならない」と言い換えると、パンフレットのコピーとは、かなり印象が変わる気がします。

 ちなみに、中高年になる前に発病するイメージが強い、女性の乳がんの罹患率は、40代前半までは0.8%、50代前半まででも2%強です。子宮がんは59歳までに2%、卵巣がんは一生涯でも1%となっています。

 現在、売れ筋の「がん保険」に30歳で加入すると仮定して試算してみました。60歳までに払い込むタイプでの保険料の総額は約140万円でした。診断一時金100万円、入院給付金日額1万円、その他の特約も付加されたプランですが、どうでしょうか。加入から数年後くらいで発病する場合、保険のありがたみが実感できそうですが、かなり限定的なケースです。検診などで健康状態を常にチェックする必要はありますが、普通に貯蓄していけば「がん以外のリスク」にも備えられることを、あわせて考えてみるべきでしょう。

 「がんになる確率」の受けとめ方は、人それぞれだと思いますが、私は正直、パンフレットの表現は少しオーバーではないか、と感じた次第です。

筆者プロフィール

後田亨(うしろだ・とおる)

1959年、長崎県生まれ。長崎大学経済学部卒業後、アパレル・メーカー勤務を経て、日本生命に転職。 10年間、歩合制の営業職員として働く。2005年に独立し、(株)メディカル保険サービス取締役に。 07年に刊行した「生命保険の『罠』」(講談社+α新書)で、業界を知る立場から生命保険業界が 抱える問題点をあげて、評判に。近著は「“おすすめ”生命保険には入るな!」(ダイヤモンド社)。

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