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1件平均10万円?「入院給付金」の支払い実績

2009年5月21日

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 前々回の記事に、「がん保険」の保険金支払い実績は、1件当たり約120万円と推察されることを書きました。

 では、各種の特約も含む「入院」や「手術」に備える保険の支払い実績は、どんなものなのでしょうか?各社の「医療保険」のパンフレットなどを見ても、それらしき数字は見当たりません。

 ただ、ある国内大手保険会社が、個人のお客様向けに配布している「決算NEWS」(当社の取り組みと平成19年度決算等のお知らせ)というチラシの中に、興味深い数字を発見しました。平成19年度に支払った「入院給付金・手術給付金」の合計支払い金額と件数が出ていたのです。

 そこで、他の国内大手保険会社もこのようなデータを公表しているのではないかと思い、チラシの会社も含めて、ディスクロージャー誌を調べてみたところ、大手4社の給付金支払い総額と件数から、1件あたりの金額を求めた結果は、次のようになりました。

A社 入院給付金  8万9703円 手術給付金 11万4056円

B社 入院給付金 11万7462円 手術給付金 10万196円

C社 入院給付金 10万9772円 手術給付金  9万6303円

D社 入院給付金  7万8953円 手術給付金  9万7051円

 さらに、個人保険の「医療保険」契約件数ではトップにある外資系保険会社にも問い合わせしてみると、「入院給付金」については、概算で1件当たり10万円である、ただし、支払いが多いのは「医療保険」よりも「がん保険」に付加された「医療特約」の方である、という回答をいただきました。

 上記の数字の受けとめ方は、人の数だけあると思います。私が感じたのは、手術を伴わない入院では約10万円、手術が行われた場合でも合計約20万円のお金のために、一般に年間数万円にのぼる、医療関係の保険料を払う必要はないのではないか?ということです。私は、保険はやはり、最低でも100万円単位の保険金が支払われることに存在意義があると思うからです。

 とはいえ、今回求めたのは、あくまで「平均」です。分布が分かるとまた別な受けとめかたをする人も増えるかもしれません。たとえば、入院給付金の支払いが5万円以下の層が80%である一方、50万円以上の給付も10%、100万円超も5%といった具合です。

 医療関連の保険を案内する際、「1日当たりの入院自己負担費用は、生命保険文化センターの『生活保障に関する調査』によると、平成16年度の調査で15,200円だったのが、平成19年では20,125円になっている」といった数字が使われることがあります。医療費負担が増えているという数字です。しかし、保険金の支払いに直接関係するデータのほうが、より参考になるはずです。

 保険会社の人も自分自身が保険に入るとしたら、生命保険文化センターの調査結果よりも、保険会社の支払い実績の方が気になるでしょう。発売から日が浅い商品などは、低い数字しか出ないと思われますが、本来、誰もが商品別に把握したいデータと考えられます。各社の積極的な開示を望みます。

筆者プロフィール

後田亨(うしろだ・とおる)

1959年、長崎県生まれ。長崎大学経済学部卒業後、アパレル・メーカー勤務を経て、日本生命に転職。 10年間、歩合制の営業職員として働く。2005年に独立し、(株)メディカル保険サービス取締役に。 07年に刊行した「生命保険の『罠』」(講談社+α新書)で、業界を知る立場から生命保険業界が 抱える問題点をあげて、評判に。近著は「“おすすめ”生命保険には入るな!」(ダイヤモンド社)。

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