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保険見直しの損得勘定

2009年6月15日

 世の中は、今や生命保険の見直しばやりです。元々、生命保険業界は、保険の見直しで成り立っている業界と言っても過言ではありません。養老保険が、20年や30年の満期を迎えたというのはもう昔の話で、定期付終身保険が登場し、金利が長期下降傾向の中、今のような状況が定着しました。

 保険会社は次々に新しい商品を出し、「転換」という名の下取りで新しい保険への切り替えを迫り、また、比較的新興のカタカナ生保や外資系生保は、大手生保の商品の弱点をつき、手を変え品を変え、旧来の商品の切り崩しに躍起です。世帯加入率が下がったとは言え既に9割近い成熟した市場ではむべなるかなの状況です。

 そこで、今回は、みなさんに、見直しをしたあと、「あ、しまった!」と思うことがないように、見直しに際して知っておいてほしいことをお伝えします。

見直しは誰のためにあるか

 まず、現在加入している同じ保険会社で見直しをする場合です。これは旧来の生命保険会社に多く、転換が主な手法です。新しい特約などを売りにして、従来の契約から新しい契約に切り替えることです。以前このコラムでも指摘しましたが、昔の予定利率(運用利率)の高いお宝商品を、低いものに切り替えることになる場合が多いので、安易に見直しをすると大損します。この更新時期を待たずに保険会社から見直しを勧めてくる転換は、ほとんどの場合、保険会社側の都合によるものです。切り替える内容につき、十分に理解している場合を除き、こうした提案には応じない方が得策です。逆に、見直しを勧められたのを機に、他社も含めた抜本的な見直しに着手するのが良いかもしれません。

見直しをするにしても良いものは残す

 次に、既存の保険会社から、新しい保険会社の商品に乗り換える場合です。この場合に必要なことは、あくまでも現行保険の良いところは残すべきだということです。掛け捨ての定期保険や、医療保険などは、以前の商品よりも保障内容が良くて、保険料面でもメリットがある商品が出ていますので、思い切って切り替えるのもひとつの手です。たばこを吸わないとか、太りすぎずやせすぎず健康なひとであれば、一般より安い保険料が適用になります。しかし、終身保険や養老保険などは、それが以前加入した予定利率の高い商品であれば、その部分だけは残しておきたいものです。今までの終身保険を残すには2つの方法があります。

.終身保険の部分だけ残して、後は解約する。
.保険全体を「払い済み」にする。

の方法は、終身保険の部分だけ残して、そのまま継続することです。保険料もその部分だけ支払います。

の方法は、見直しの際にはぜひとも知っておいてほしい方法です。

 「払い済み」とは、その時点で保険料の支払いを止めてしまうことです。払い済みにすると、それまでに支払った保険料をもとに、保障額は減りますが、保障は従来の保険期間がそのまま継続します。

 例えば、30歳で加入した払込期間が60歳までの500万円の終身保険を、途中の50歳で「払い済み」にすると、350万円の終身保険が残るというようなイメージです。払い済みにした後も、契約当初の予定利率で解約返戻金が増えていきます。この払い済みと言う手法は色んな面で応用が効きますので、必ず覚えておいてください。

 ただ、払い済みにすると、その契約についていた定期保険や医療保険などの特約はすべて消滅しますので、その点は注意する必要があります。

 ただ、1、2の方法ともに、保険会社によって規定があり、金額によっては、終身だけ残したり、払い済みにしたりできない場合があります。その場合は思い切って解約ということになります。一般的に、終身保険などを解約するのは損です。しかし、その保険がふさわしくないと思ったら、「解約してしまう損と、その保険を続ける損」とを比較してみることです。解約するしか手段のないような契約は、往々にして、続けていく損の方が大きいものです。

 生命保険の販売の現場では、残念ながら本当に信頼できる人に出会うことがなかなか難しいという現実があります。したがって、自分に不利になる見直しをしないためにも、払い済みなどの知識はしっかりと身につけておきたいものです。

筆者プロフィール

藤井泰輔(ふじい・たいすけ)さん

1954年、名古屋生まれ。一橋大学商学部卒。三井物産から生命保険会社を経て、今は総合保険代理店ファイナンシャルアソシエイツを経営するCFPのおやじ。著書「あなたの生命保険払いすぎ!」(かんき出版)「安心セカンドライフのマネープラン」(日本評論社)他。生命保険を初心者に分かりやすく解説するサイト 、「保険見直しドットインフォ」などを運営。

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