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もう一つの「喫煙病」 死者1万人超え、増加傾向

 たばこが原因で起きる病気といえば、肺がんが思い浮かぶ。だが、喫煙者を死に追いやる、もう一つの肺の病気が、急増しているという。その名は慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)。耳慣れない、恐ろしげな名をもつこの病気をめぐっての市民健康講座(東京顕微鏡院、こころとからだの元氣プラザ主催、朝日新聞社など後援)が、この11月、東京の「有楽町朝日ホール」で開かれた。

 世界銀行の予想によると、20年には、心臓病、脳卒中に次ぐ死亡原因の第3位に。――COPDは動向が世界的にも最も注目されている病気の一つだ。たばこや粉塵で起きる呼吸器の炎症のことで、生活習慣病であるとともに、一種の文明病としても位置づけられる。

 おおざっぱにいえば、これまで「肺気腫」(細い気道から炎症が始まり、肺の奥の肺胞に進み、呼吸がうまくできなくなって、空気の固まりで肺胞が狭まる)や、「慢性気管支炎」(太い気道や気管支に粘膜細胞が増えて狭くなり、せきやたんが増える)とされてきた病気と、そのいずれかに向かう軽症患者をひっくるめたもの。発症すると後戻りがきかない点が、ぜんそくや、感染などで起きる呼吸器の炎症とは根本的に違う。

 軽いせきやたんから始まる症状は、運動時の息切れや体重減少へと発展、最終的にはじっとしていても呼吸が困難で、常時酸素吸入状況になる。気道を拡張する作用のある抗コリン剤を中心にした治療を行うが、病状の進行を食い止めるのがやっと。重症例には、肺移植まで含めた手術を考えることもある。

 間接喫煙も含め、たばこが原因のものが大半とされる。喫煙者は非喫煙者の6倍もCOPDになりやすいというデータが出ている。軽症のうちに禁煙すれば、進行が緩くなり、重症化を防げる可能性が高い。非喫煙者の症例もあり、これらは大気汚染や有害粒子の多い職場での労働などが原因と考えられている。

 米、英などを追う形で日本呼吸器学会のガイドラインがつくられたのが99年。この基準によってCOPDと診断された患者が22万人になる。しかし、疫学調査によれば、軽症まで含めれば、40歳以上の日本人の1割に当たる約700万人の患者がおり、予備軍はさらにその数倍になる。

 厚生労働省人口動態統計では、02年のCOPDによる死亡者は1万3014人。男性で死因の8位、女性は14位だが、ここ数年の増加が目立つ。

 ことし11月、日本呼吸器疾患患者団体連合会が発足した。COPD患者の多い日本呼吸器障害者情報センターや全国低肺機能者団体協議会などの患者団体が参加、「呼吸器病にも障害者2級を認めてほしい」と訴える。結成を呼びかけた日本呼吸器学会の福地義之助理事長は「国も国民も、この重要な病気についてもっとちゃんと知るべき時期が来ている」と話す。


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