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健康相談 with J-Health 保健同人社

[起床時のめまい](10/10)

問い

ベッドから起き上がると目が回って気持ちが悪くなる

 27歳、女性。先日、激しいめまいにおそわれました。朝ベッドから起き上がると、目が回って気持ちが悪くなり、真っすぐ歩くことができなくなりました。午前中、ずっと横になっていてもよくならないので、内科を受診してめまいの点滴をしてもらいました。安静にしていたら、夜にはだいぶよくなり、翌朝にはふつうに歩けるようになったのですが、これは何が原因で、どんな病気なのでしょうか。めまいと吐きけだけで頭痛はありませんでした。またおこるのではと思うと不安です。


答え

前庭神経炎か良性発作性頭位性めまい症が考えられる (回答者:聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教室教授・肥塚 泉)


 めまいと聞くとすぐに、メニエール病という名前を思い浮かべる人が多いと思います。めまい感を覚えてお医者さんに行き、この診断名をつけられた方も数多くおられることでしょう。「めまい=メニエール病」と思っている人も多いのではないでしょうか。

 メニエール病は、めまい発作をくり返し、その際、難聴や耳鳴りなどのいわゆる蝸牛症状をともなうのが特徴です。

 これは、耳(内耳)が原因で生じる、いわゆる末梢性めまいと呼ばれる疾患によく見られます。

 その理由には、平衡感覚を司る前庭系(三半規管や耳石器)と、聴覚を司る蝸牛が解剖学的に近接していること、血管系を共用していること、互いの内腔が連続していることなどがあげられます。

 今回の相談例では、蝸牛症状は認められず、ろれつが回らない、口の周りや手足の先のしびれ感、起床時の激しい頭痛などの中枢神経症状もなかったことから、前庭神経炎あるいは良性発作性頭位性めまい症が考えられます。

 前庭神経炎では、通常、大きなめまい発作は一度きりで、吐きけ、嘔吐をともないます。回転性めまいは1〜3日で治まりますが、不快な頭重感と、体動時あるいは歩行時のフラフラ感が数週から数か月間残ります。

 前駆症状としてかぜに似た症状をともなうことがあり、急性期は吐きけおよび嘔吐が強い場合が多く、制吐薬、鎮暈薬、鎮静薬などを投与します。

 良性発作性頭位性めまい症は、末梢性めまいのなかでもっとも頻度の高い疾患です。このめまい症の症状は、

 (1)特定の頭位(頭の位置)で回転性ないし動揺性のめまいがおこる(めまい頭位の存在)

 (2)めまいはめまい頭位で次第に増強し、ついで減弱ないし消失する

 (3)くり返しめまい頭位をとると、めまいは軽くなるか、おこらなくなる

 (4)難聴や耳鳴りなどの蝸牛症状をともなわない

 という特徴があります。

 考えられている原因は二つあります。

 一つはクプラ結石症です。このしくみは、まず耳石器の一つである卵形のう斑の変性により、炭酸カルシウムからなる耳石が脱落します。次に、脱落した耳石が三半規管の一つである後半規管のクプラと呼ばれる部分に付着して、最後に頭位の変化で生じる重力方向の変化に耳石の付着したクプラが反応してめまいが生じるという具合です。

 もう一つの原因は、半規管結石症です。これは、小耳石片が頭位の変化にともなう重力方向の変化に応じて後半規管の管腔内を移動し、これによりクプラが偏位して、めまいが生じると考えられています。

 近年、良性発作性頭位性めまい症に対して、後半規管内に浮遊する小耳石片を卵形のう斑へもどすことを目的に、浮遊耳石置換法と呼ばれる治療法が積極的に行われるようになりました。この方法にはエプリー法などいくつかの手法が報告されていますが、いずれの場合でも80%を超える高い有効率を示すことが知られています。

 (保健同人社)



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