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健康相談 with J-Health 保健同人社

[就寝時の耳鳴り](12/20)

問い

耳鳴りが毎晩おこりなかなか寝つけない

 72歳、男性。3か月ほど前から、夜床について眠ろうとすると、「キーン」という耳鳴りがおこります。最初は気にしなかったのですが、毎晩続くため、今ではイライラも手伝ってなかなか寝つけません。1度、近所の耳鼻科で診てもらったのですが、老人性難聴があるものの、エックス線写真で見るかぎり異常はないとのことでした。日中はおこらず、夜にだけおこる耳鳴りですが、治療法はないのでしょうか。


答え

老人性難聴による慢性的な耳鳴りと考えられる (回答者:聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科教授・肥塚 泉)


 耳鳴りは、「体外に音源がないにもかかわらず、耳や頭の中に音を自覚する状態」と定義されます。

 耳鳴りには、訴えている本人にしか聞くことのできない「自覚的耳鳴り」と、本人が聞いている耳鳴りの音を、他人も聞くことができる「他覚的耳鳴り」の2種類があります。耳鳴りの大部分を占めているのは、前者の「自覚的耳鳴り」です。その大部分は、外耳から中耳、内耳、大脳聴覚中枢へと続く音の伝わる経路(聴覚路)のどこかに異常がある場合に生じます。

 外耳の病気としては外耳道炎、耳垢栓塞(“みみあか”が外耳道をふさいでしまった状態)があげられます。

 中耳の病気には、中耳炎、耳管狭窄症(耳管とは耳の奥、鼓膜の裏にある中耳腔と鼻の奥とをつないでいる管で、大気と中耳の圧を同じにするためにあります。ふだんは閉じていますが、飲み込む動作をすることで開きます。耳管狭窄症ではこれがうまく開かないため、高い山に上ったり、飛行機に乗ったりしたときのように耳がつまった感じがします)があります。

 内耳の病気は突発性難聴、メニエール病、外リンパ瘻(内耳を満たしているリンパ液の1つである外リンパ液がなんらかの理由により中耳腔へもれだす病気)、音響外傷、老人性難聴などです。

 脳の病気で耳鳴りの原因となるものとしては、脳腫瘍、聴神経腫瘍、頭部外傷などがあります。

 「他覚的耳鳴り」の多くは、聞こえに関与している部位以外の障害によっておこるものです。脳や首の動静脈奇形(動脈と静脈が先天的につながっており、その部分から雑音が発生し耳鳴りとなる)など、おもに血管性の病気、口の中や耳周辺の筋肉の痙攣などの病気によっておこりますが、それほど多いものではありません。

 耳の病気が原因で生じた耳鳴りの治療は、初めにその原因になっている耳の病気を治療することが原則です。

 外耳や中耳の疾患は比較的治りやすいので、これらの病気でおこる耳鳴りは聴力の回復とともに治ることが多いようです。

 内耳の病気を原因とする耳鳴りでは、急激に発症したものは早期に治療を開始すると改善しやすく、徐々に発症したものほど治りにくい傾向があります。

 脳の病気を原因とするものでは、その元となっている疾患の治療が最優先となります。

 今回ご相談になられた例では、老人性難聴が原因となって生じた慢性耳鳴りが考えられます。慢性的な耳鳴りに対しても、多くの治療法がありますので、難聴は治らなくても耳鳴りを小さくすることは可能です。

 現在行われている治療方法には、ビタミン剤(ビタミンB1、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE)や循環改善剤などの内服療法のほかにも、ソフトレーザーやマスカーなどの理学療法や心理療法などいろいろあります。

 これら治療法の適否については、専門医にご相談ください。

 難聴が進行すると耳鳴りが大きくなることがあります。耳鳴りが大きくなってきたら、できるだけ早く専門医に診てもらい、適切な治療を受けるようにしてください。


(保健同人社)



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