(回答者:獨協医科大学越谷病院耳鼻咽喉科教授 渡辺建介)
耳閉感を訴える患者さんのなかには、伝音難聴と感音難聴があります。
伝音難聴は、音の振動が内耳の中にあるセンサーにまでうまく到達しないことでおこる難聴です。感音難聴とは、音の振動は内耳に伝わるのに、内耳そのものの故障か、脳までの伝達経路が故障したことでおこる難聴です。
相談者の症状は、耳管が炎症で腫れたために空気が中耳の中に送り込まれず、その結果、鼓膜の動きが悪くなって現れた症状です。聴力検査をすれば軽度の難聴になっていると思われます。この難聴は、内耳より中枢には異常がないので伝音難聴の一つといえます。
さて、相談者が炎症をおこしたと思われる耳管について少しお話しします。耳管とは鼻のいちばん奥の鼻咽腔と中耳を結ぶ管のことです。飛行機に乗ったときや、エレベーターに乗ったときなど、気圧の急激な変化にともない耳がつまることがあります。このときに耳管が開くことで中耳圧と外界の気圧が調圧されます。嚥下(飲み込み)運動により耳管は開きます。
耳管の炎症(耳管炎)がうまく治癒しないと急性中耳炎や滲出性中耳炎を引きおこします。耳管炎はかぜをひいたときにしばしば合併して罹患しますが、アレルギー性鼻炎のような、鼻から鼻咽腔にかけて粘膜が浮腫(むくみ)状に腫れる疾患によっても引きおこされることがあります。
相談者の場合、かかりつけの医師が「気にしなくてよい」といっているので、おそらく鼓膜に発赤や、中耳に滲出液が貯留しているほど重症ではないと思われます。したがって、医師は耳管の腫れをとる治療に留めているのではないかと思われます。
服用されているポララミンやムコダインというのは粘膜の腫れを軽減したり、分泌液をサラサラにして耳管内の粘液の排出を促進するくすりです。ふつうは1、2週間で改善してくるのですが、相談者は1か月も続いているので不安になられたのだと思います。
また、ふだんから鼻水がでやすいと訴えていますので鼻アレルギーの素因があると思われます。したがって、鼻粘膜から耳管にかけての腫れがなかなかスッキリとれないでいるのだと思います。
慢性化して中耳滲出液が貯留するようになると、一時的に鼓膜にチューブを挿入して中耳の換気をするような処置が必要となることもあります。病状がそこまでいっていないようなら、鼓膜側からすることは何もありません。かかりつけの医師のいうように鼻粘膜、とくに耳管粘膜の腫れを除去することに専念すればよいでしょう。
1か月間と少し長引いているようですので、鼻アレルギー治療薬の局所型ステロイドの鼻腔噴霧をまずお試しになるとよいと思います。それでも改善しないようでしたら、短期間、少量のステロイド内服薬を服用するのもよいかもしれません。
ただし、ステロイド内服薬は副作用もあるので、長期の服用はすすめられません。もう一度かかりつけの耳鼻科医によく相談してみてください。
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