(回答者:東京女子医科大学皮膚科講師・林 伸和)
にきびのできる過程には、次の三つの段階があります。
(1)皮脂腺の活動が盛んになって皮脂(皮膚表面の脂分)の分泌が増える
(2)毛穴がつまり、皮脂が毛穴にたまる
(3)毛穴にたまった皮脂ににきび菌がついて炎症をおこす
ホルモンバランスがおもに関係するのは、(1)の皮脂が分泌する段階です。皮脂腺はアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンによって制御されており、男性ホルモンが増えると皮脂の分泌量も増えます。
この男性ホルモンは、女性でも卵巣から分泌されています。ですから、多のう胞性卵巣症候群のような卵巣疾患による男性ホルモンの分泌過多でにきびが続いている場合もあります。
多のう胞性卵巣症候群では、月経異常、とくに生理不順がよくみられますから、にきびがあり生理不順の方は産婦人科でのチェックをおすすめします。
一方、生理不順ではない場合には、生理前ににきびが悪化することはよく知られています。これに対して、メサルモンFのような性ホルモン複合剤を内服したり、低用量ピルを使用することもあります。
しかしながら、これらのホルモン剤がすべての患者さんに有効というわけではなく、また、不正出血などの副作用がでる場合があります。このため、現在の治療はホルモンではなく、毛穴のつまりや炎症を標的とするのが主流です。
毛穴のつまりに対する治療は、最近急速に進化しています。その一つがケミカルピーリングです。
ケミカルピーリングでは、グリコール酸などの酸をもちいて皮膚のいちばん表面にある角層の一部を剥脱します。この際に、毛穴のつまりをとり除くことができ、にきびに対しても有効性が科学的に証明されています。
最近では、にきびに対してこの施術を行う医療機関が増えています。一般の皮膚科でも行うところはありますから、トラブルを防ぐためにも、必ず医療機関で施術を受けてください。
ケミカルピーリングは保険適応にならないため、全額自費の治療となりますが、種々の健康食品や民間療法などを試すよりも、確実な効果が期待できます。1回の施術だけでは効果はなく、2週間おきに5〜6回の施術が必要です。背中や胸の症状はケロイドなどの瘢痕が残ることが多いので、早めの治療が必要です。皮膚科に受診した際、必ず背中や胸の症状も医師に見せて、確実な治療を受けてください。
なお、背中や胸に炎症性のにきびができる場合には、予防的にマクロライド系やテトラサイクリン系の抗生物質の飲みぐすりを長めに続けます。
また、栄養面でにきびに有効とされているのはビタミンB2とB6ですから、これらを含む食品をとってください。ストレスや睡眠不足は、ホルモンバランスをくずす原因となります。
にきびを予防するには、食事、運動、睡眠、便通などすべての点でバランスのとれた規則正しい生活を送るのがいちばんです。
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