(回答者:赤坂山王クリニック院長・梅田悦生)
鼻血がでたときの対応としては、まず座った姿勢で、親指と人さし指で鼻(鼻翼)をしっかりとつまみ、それから少しうつむくことです。
血液はとても貴重なものですから、相談内容にある「下を向かせて全部ださせる」といった対応は感心しません。子どもの鼻血は、それでも通常は自然に止まりますが、流れるままに任せるのは、明らかに間違いです。
さて、相談者は「鼻血がでやすいのは体質か」と疑問をおもちのようですが、そもそも鼻の中の血管は切れやすいものなのです。頻繁に鼻血がでるお子さんは、一度鼻血がでると、鼻の中の粘膜にかさぶたができ、それが不快で指を突っ込むという悪循環をしばしばくり返してしまうのでしょう。
では、どうして鼻の中の血管は切れやすいのか。これは鼻の粘膜が、つねにぬれていることとかかわりがあります。
鼻から吸い込んだ空気は、のどに到達するまでのほんの10cm少々の短いすき間をとおる間に、温度は37℃に、湿度は100%になるようにできています。外気温・湿度が夏場であって高くても、冬場であって低くても、この機能ははたらいています。
そのしくみは、温かい血液の温度で、吸い込んだ冷たい外気を一瞬にして温めるというもので、その際、空気に温度を与えやすいように、鼻の中の粘膜の表面には、毛細血管が網の目のように張りめぐらされているのです。この毛細血管は、その目的から血管の壁が非常にうすく、結果的に切れやすくなっています。
血管の切れやすい部分ですが、これはおおよそ決まっています。鼻中隔と呼ばれる場所で、左右の鼻の穴の間にある仕切りにあたります。この部分には、とくに毛細血管が集中しており、そのことを発見した人の名前をとって、キーゼルバッハ氏領域という名前がついています。資料により多少の数値のずれはありますが、鼻血の80%はこのキーゼルバッハ氏領域からでます。
最初にお話ししましたが、通常は、流れるに任せていても鼻血は止まります。
というのは、血液中には血液を固める凝固因子と呼ばれるものがあり、血管が切れて出血が始まると、出血している部位にこの凝固因子が集まってきて、壊れた血管部を修復するからです。
さて、鼻血がでた子どもには、初めにお答えしたように、鼻翼をつまむように指導してください。一人でいるときに鼻血がでてもこまらないように、このことをよく教えてください。
鼻翼をつまむ理由は、ここを押さえるとキーゼルバッハ氏領域を外部から直接的に圧迫するのと同じですから、血管の切れたところを押さえて鼻血を止めることになるからです。
なお、鼻血がでたときにティッシュペーパーをつめるのも、血管を圧迫する目的ではあると思いますが、現実には鼻の中に異物を突っ込むことで、血管をよけいに傷つける可能性があります。
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