(回答者:岩手医科大学皮膚科教授・赤坂 俊英)
腕などをぶつけたあとにできる青いあざは、皮膚の深い部分(真皮と皮下脂肪織)で出血した状態(紫斑)と考えられます。
紫斑はその大きさから、直径3mm未満を点状出血、直径2cmまでを斑状出血、さらに大きなものを広汎性皮下出血と呼んでいます。なぜ大きさで呼び名が異なるかというと、病気の種類あるいは原因によって紫斑の大きさが異なるからです。相談内容から相談者のあざは斑状出血あるいは広汎性皮下出血と考えます。
紫斑の原因は大きく3つに分類されます。
第一は血小板の減少や機能が異常なための紫斑(血小板減少性紫斑病など)です。この場合は点状紫斑や斑状紫斑が出現し、口腔・鼻粘膜や陰部粘膜の点状出血、月経過多、血尿や下血なども見られます。関節症状などは見られません。
第二は血液中の凝固因子と線維素溶解現象の異常で、血友病や播種性血管内凝固症候群などが含まれます。血友病では小児期よりくり返して皮下、筋肉内、関節内に大型の血腫ができるのが特徴です。播種性血管内凝固症候群は、がんや重症外傷などにともなって生じる予後不良の全身性の出血と異常血栓を多発する疾患です。
第三は血管壁の異常による出血で、もっとも頻度の高い原因です。このなかには(1)先天異常により小児期より血腫、粘膜の血管腫や関節の過伸展をともなうもの、(2)老化や副腎皮質ホルモン薬などで血管壁が脆弱になるもの、(3)血液中の異常たんぱくや免疫反応による血管炎が原因のもの、(4)原因不明のもの、などがあります。
これらの原因は採血で血小板数や凝固・線維素溶解現象因子の測定、紫斑をおこしやすい血液疾患や膠原病の検査、血管壁の強さの検査で簡単にわかりますので、皮膚科あるいは血液内科をぜひ受診してください。
相談内容を拝見すると、紫斑にともなった関節痛、腹痛や発熱などの全身症状と粘膜出血や消化管・尿路出血は認められないようですから、第三の血管壁の異常で原因不明の単純性紫斑がもっとも考えられます。この病気は女子深在性紫斑、あるいは遺伝性家族性単純性紫斑とも呼ばれるように女性の下肢に好発し、ある程度の遺伝性が認められます。
しかし、相談者の場合、全身性の出血や血液の異常はありませんので、打ち身ができないように日常注意することと、血管強化剤(血管壁を強くするくすり)の内服である程度改善します。
紫斑は通常、赤紫色を呈しますが、皮膚表面の表皮に近いものは赤みが強く、皮膚の深い部分や皮下脂肪の出血は青みを帯びます。この色は、時間とともに褐色、橙黄色、淡黄色の順に変化して、7〜10日間ほどで消えてしまいます。
相談に、あざが青くできたあとに赤くなってなかなか消えないとありますが、これは通常の紫斑が消えるまでの経過と異なっています。このような色調は、紫斑に炎症がともなった血管壁の異常の慢性色素性紫斑や、自己赤血球に対する免疫反応の有痛性打ち身症候群で見られます。
慢性色素性紫斑は中年以降の人の臀部から下肢に好発し、湿疹と紫斑が混在するのが特徴です。また、有痛性打ち身症候群は女性に好発し、紫斑に痛みをともないます。
なお、肌の色が白いこと、およびむくみやすいタイプと紫斑は関係がありません。ただし、膠原病の全身性エリテマトーデス(SLE)では同様の症状と血小板減少性紫斑を合併しますので、膠原病の検査も受けたほうがよいと思います。
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