(回答者:東海大学内科学系神経内科教授東海大学付属大磯病院副院長・北川 泰久)
この患者さんの場合、朝起きたときにズキズキする頭痛が週に3〜4回おこること、しかも日常生活に支障をきたすほどの頭痛であることと低用量ピルを飲んでいることが大切なポイントです。
早朝ないし朝方におこる頭痛はいくつか知られています。片頭痛や群発頭痛などの機能性頭痛や、うつ状態、脳腫瘍、肺疾患、睡眠時無呼吸症候群、副鼻腔炎などにともなう頭痛です。また、朝方に血圧が高くなる高血圧の患者さんでも、早朝の頭痛が見られることがあります。
まず初めに行うことは、からだのなかに何か疾患があっておこっている頭痛なのか、うつがあるか、脳腫瘍はないのか、肺の病気はないのか、副鼻腔炎、高血圧はないのかなどについて内科、とくに神経内科か脳神経外科、耳鼻科の専門の先生を受診することです。とくに脳腫瘍はどうしても心配な頭痛ですので、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)で診断しておくことが大切です。副鼻腔炎では頭を振ると痛みが増強し、前頭洞の炎症である場合、前頭部をたたくと痛みます。
もう1つ大事なのはこの6か月の間、鎮痛薬をたくさん飲みすぎていないか確かめることです。カフェインもしくは鎮痛薬を長期に乱用している患者さんでは、鎮痛薬の飲みすぎがかえってしつこい頭痛を招くことがあります。
これら頭痛の背後にかくれている疾患やくすりの飲みすぎを否定できた場合、いちばん考えられるのは片頭痛です。頭痛がかなり激しく、しかもズキズキする痛みで、日常の生活がかなり障害されます。
頻度も週3〜4回とのことですが、ピルを服用してからその頻度は増したか確かめる必要があります。片頭痛は思春期から更年期の激しいホルモンの変化に関係します。ピルを服用している人の50%は片頭痛が悪化するといわれています。
では、どのように治療したらよいのでしょうか。まず片頭痛の場合、誘因をとることが大切です。初めにピルの服用を中止してみてください。また、アルコールは片頭痛を誘発します。とくに赤ワインは片頭痛にはよくないといわれていますから、飲みすぎには注意してください。食物では熟成したチーズ、チョコレートも控えるべきでしょう。タバコは片頭痛とは直接関係はありません。
次にくすりによる治療です。おそらく、いくつかの鎮痛薬はすでに使っているかと思います。鎮痛薬が無効だとした場合に、まず適応になる治療はトリプタンというセロトニン受容体作動薬です。このくすりには、片頭痛の病態に関係する神経に作動する物質の機能や三叉神経周辺の炎症を抑えるはたらきがあります。
トリプタンは現在4種類が発売され、経口、口腔内速溶錠、皮下注射、点鼻と投与法もさまざまです。投与は頭痛が始まってからできるだけ早い時期がよいのですが、頭痛発症後4時間以内であれば、かなりの効果が期待できます。くすりを飲んだときに、まれにからだのほてりや胸への圧迫感が若干生じることがありますが心配いりません。
また相談者の場合、頭痛の回数が1週間に3〜4回と多いので、予防のためのくすりも考えなければなりません。予防薬としては、カルシウム拮抗薬があります。このくすりは60〜70%の患者さんに有効です。
以上で述べたように、まずピルの服用を中止し、専門医による適切な検査と治療を受けることをおすすめします。
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