(回答者:医療法人社団徳仁会おおあみ泌尿器科院長・鈴木 文夫)
前立腺肥大症は、誰にでも訪れる加齢現象です。しかし、日常生活に気をつけることで、すすみ具合を遅らせたり、症状を軽めに抑えたりすることができます。
つまり、正しい知識をもって、積極的に前立腺を検査して、適切な治療を受けることで症状は改善されます。また、いまの日常生活に気をつけることで、尿の出具合は大きく変わり、生活の快適さにも雲泥の差がでてくるのです。
前立腺肥大症の症状は、段階的に進行していきますが、中にはほとんど自覚症状の現れない人もいます。治療については、最近作成された、「前立腺肥大症の診療ガイドライン」では、薬物治療や手術治療と並んで低侵襲治療(からだへの負担が少ない治療)も独立した治療法としてとりあげられています。高温度療法※のような日帰り手術も可能となってきました。治療全般が、できるだけ切らずに治す方向へとすすんでいます。できるだけ早く、専門医の診断と適切な治療を受けることで、すばらしいQOL(生活の質)をとりもどし、快適な生活を送るようにしたいものです。
さらに、早めの診断・治療をおすすめするのには、もう1つの理由があります。
じつは、前立腺肥大の症状の陰に、前立腺がんがひそんでいることがあるのです。前立腺がんと前立腺肥大症は、症状に似ているところがあり、前立腺肥大症ではないかということで調べているうちに、前立腺がんが発見されるということもめずらしいことではありません。
しかし、この2つはまったく異なる病気であり、前立腺肥大症から前立腺がんになることはありません。最近になって、前立腺がんの患者さんが急激に増加しています。
前立腺がんは、早期の段階ではほとんど自覚症状もありませんが、がん検診で腫瘍マーカーとして、PSA(前立腺特異抗原)の採血検査だけで、前立腺がんも多く発見されるようになっています。前立腺がんも、ほかのがんと同様に、早期のうちに見つければそれだけ治癒率も高くなります。
前立腺肥大症と上手につきあっていくための日常的なポイントを、「前立腺肥大症とつきあう10の鉄則」として次のことを提唱したいと思います。
(1)お酒の飲みすぎをさける。
(2)排尿をがまんしない。
(3)からだを冷やさない。
(4)1日の終わりはゆっくりお風呂に入る(下半身を温めてください)。
(5)長時間、座りっぱなしでいない。
(6)日本型の食生活を心がける(高脂肪・高カロリーをさける)。
(7)便秘を防ぐ。
(8)規則正しい生活を送る(夜ふかしをさけ、十分に睡眠をとる。暴飲暴食をさける)。
(9)刺激のある食べ物はさける。
(10)かぜぐすりや胃ぐすり、精神安定剤などを服用するときは医師・薬剤師などに相談する。
最後に、前立腺肥大症、前立腺がんの基礎知識と最新治療法の紹介として自著『前立腺を切らずに治す!』(小学館文庫)をご参考いただければ幸いです。
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