(回答者:帝京大学医学部附属市原病院耳鼻咽喉科教授・浅井 昌大)
咽喉(のど)と一括して呼んでいますが、発声の源である声帯は気道側(喉頭)に属しており、飲食物が通過する食道側(咽頭)とは前後に並んではいるものの独立した場所に存在します。
また、声帯の真上には喉頭蓋というふたと披裂という堤防があって、飲食物の気道内流入(誤嚥)が生じないよう防御し、もし流入した場合は激しくせき込んで(いわゆるむせ)異物を排除します。そのため、声帯は飲食物から守られており、通常はその影響を受けることなく、発声も食事によって影響されることがありません。
したがって、相談者のような事例は本来はあってはならないことなのですが、いくつかの可能性が考えられるとは思います。
1つは、飲食物の通過によって物理的に食物の通路である咽頭側が刺激され、こすれた部分が反応的に腫れ上がることがありますが、その腫れが堤防となる披裂を越えて声帯近くまでおよんでいる場合です。皮膚粘膜をこするなどの物理的刺激を加えたときに腫れやすい人の場合は可能性があると思います。この場合は物理的刺激がなくなれば徐々に腫れは引きますので20〜30分で自然に改善すると推測されます。
2つ目は、飲食により胃液分泌が促されますが、やせ型の人などは胃内容物の逆流防止機構が弱いため胃液がのどまで上がってくることがあります。胃液は強酸性のため、粘膜のむくみを生じやすく、とくに気道側に回るとそれが著明におこるため、声がしゃがれる可能性があります。これも逆流が一時的であれば、胃酸による影響は一時的で影響がすぐとれますから、数10分で改善するはずです。
3つ目としては、のどの外側にある甲状腺が大きいような人ですと、のどの違和感を生じやすく、その際に変に力を入れて発声してしまうなどで通常の声と異なる音声になってしまうことが考えられます。
ほかに飲食物の化学的刺激やアレルギーなどで腫れる可能性も考えられますが、特定の飲食物だけに生じますし、重篤になりやすく持続するので、食後いつも腫れ、すぐ改善することからすると、その可能性は低いと思われます。
以上のように、原因についてはさほど心配のないことだとは思いますが、はっきりさせるためには、やはり耳鼻咽喉科など専門医を受診される必要があると思います。平常時だけでなく、できれば飲食されてすぐの状態も同時に診てもらうのがよいでしょう。
対策としては、原因により異なりますので一概にはいえませんが、飲食物の物理的刺激であれば、やはりかたいものはさけるか、よく噛んでから少しずつ飲み込むようにすべきだと思います。
また、辛いものなど刺激物は直接刺激だけでなく胃液分泌も増加するので、さけるようにしたほうがよいでしょう。あとはあまり気にしすぎず、それも1つの自然現象として受容する気持ちも大切かと思います。
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